前回は、経済成長率がEUトップクラスを誇る「マルタ共和国」の概要を紹介しました。今回は、マルタ永住権の取得で享受できるメリットについて見ていきます。

国債投資、不動産購入・賃貸で永住権の取得が可能に

マルタでは、申請が許可されれば即永住権が取得できる、「MALTA RESIDENCE AND VISA PROGRAMME」通称MRVPと呼ばれるプログラムがあります。マルタの国債に投資し、不動産を購入、または賃貸することで、永住権を手に入れることができるのです。

 

ポルトガル、スペイン、キプロス、ギリシャなどでも、一定額の不動産などに投資をすることでその国の居住権を得られるプロジェクトを実施しています。それらの国々は、2008年からの経済危機によって大きな打撃を受け、経済回復のために外国からの投資を求めたことがプロジェクト開始の理由でした。対して、財政も比較的健全で、経済的な打撃もそれほど受けていないマルタは、主に外資誘致政策としてこのプログラムを開始しました。

 

 

経済危機の影響が少なかったマルタの産業構造の特徴として、元々植民地であった歴史が長く、資源にも恵まれなかったため、宗主国の軍隊のための造船業が発達しました。自然の美しさや長い歴史の各時代に残された多くの遺跡などを利用し、軍港として利用されてきましたが、独立後はヨーロッパからの旅客を中心とした観光業の振興に成功し、その他船舶業、漁業により独自の発展を始めました。日本もマルタから多くのマグロを輸入しています。また、地中海の中心に位置する地の利を利用し、貿易業も盛んです。

 

近年になり、低法人税率を導入するなどの方法で外資の誘致に力を入れていることから、「地中海のシンガポール」などという別名で呼ばれることもあります。国土が狭く、人口も少なく、資源にも恵まれないため、頼れるものは英語力が高く勤勉な「人」のみです。金融業においても、①確固とした金融規制・金融当局の管理②優れたインフラ(IT、英語人材)③ファンド設立・維持コストの競争優位性があり、イギリス植民地時代の遺産であるよく整備された英国法の影響と、その市場の透明性からも多くの投資家を集めていることから、「地中海のスイス」との呼び名もあります。さらにIT産業の発達も目覚ましく、「地中海のシリコンバレー」とも呼ばれています。

「英語を学ぶ地」として多数の留学生が滞在

この中で多く出てくるキーワードとして、「イギリスの植民地」「国民の英語力が高く、ビジネスが英語で行われる」というところが重要なポイントです。公立学校の教育はマルタ語で行われ、外国人にとって使う機会も少ないマルタ語の習得に魅力を感じる人は少ないかと思います。しかし、英語で授業が行われる私立学校、インターナショナルスクールの数が多く、また全体的に学費が安く、教員の質も高いことから、ヨーロッパを中心に幼稚園児から大学生まで多くの学生が留学に訪れます。英語圏の一流大学の進学実績の高い学校から、課外活動を重視する学校まで選択肢も広いので、ご家庭の教育方針に合わせて選択ができます。

 

 

世界共通の大学進学準備試験である国際バカロレア試験の合格率が、イギリスなどをはじめとする英語のみを母国語とする国を含めた平均合格率を超える学校でも、学費はそれほど高価ではありません。高校を卒業した後の国際バカロレアコースで、一学期の学費が2,000ユーロ(1ユーロ約130円)以内、1年で70万円台となっています。一般的な高校では一学期1,500ユーロ程度、1年で60万円以下という学校も多く、幼稚園、小学校では一学期500~600ユーロ、1年の学費が20~25万円で通うことができます。

 

また、マルタで高校や大学に通うことで、イギリスの学校の卒業資格も取得できたり、マルタでの取得単位が認定されて途中からイギリスに転校できるシステムを採用している学校もあります。次回は、その他のマルタに住むメリットについて解説します。

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