今回は、太陽光発電投資における発電所の「メンテナンス」の重要性と、トラブルの原因等について説明します。

改正FIT法で義務付けられた「O&M」

太陽光発電だけに限らず再生可能エネルギーの普及において、今年度は再生可能エネルギー固定価格買取制度の大幅変更があり、再生可能エネルギーの過渡期と言っていい年度となっています。

 

今年4月1日に改正されたFIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)法で義務付けられたものの1つに、O&M(Operation and Maintenance、維持管理及び保守点検)があります。一般的には「メンテナンス」と呼ばれていることです。

 

 

メンテナンスが必要な理由は、10年~20年という長期的な固定価格買取制度のもと、安定的に稼動させることが必要だからです。FIT法導入から4~5年が経ち、メンテナンスをしっかりしていないがために問題となっているケースも多々見られてきました。このような状況を放置すれば、20年待たずして問題が更に大きくなると判断され、メンテナンスを義務付けられました。

 

大雨が降った際、雨水の流れが想定と違ったために造成をした斜面が崩れかけている。
放置すれば完全に崩れてしまうこともあるため、雨水側溝などの対応が必要。
大雨が降った際、雨水の流れが想定と違ったために造成をした斜面が崩れかけている。 放置すれば完全に崩れてしまうこともあるため、雨水側溝などの対応が必要。

経年劣化や人的被害など、様々なトラブル対処が必要

では、どのようなメンテナンスが必要なのでしょうか。

 

太陽光発電といえば、モジュール(パネル)が主な設備となりますが、その他にパワーコンディショナー、集電箱、ケーブルなどの電気関連設備、架台や基礎などの設備などがあり、その組み合わせによる発電所となります。この設備ごとに見合ったメンテナンスをしなければ意味がありません。

 

メンテナンスは、事前対応と事後対応の2つに分類できます。

 

事前対応は、月に1度や年に1度などの定期的な点検をすることで、問題が起きる前に問題の芽を摘んでおくことで、長期的な安定運用へと繋がります。

 

事後対応は、問題が発生した後にすぐに対処することで、被害を最低限に抑えることに繋がります。

 

カラスの投石による破損。
発電量の低下がほぼないため目視点検でないと発見が難しい。
このまま放置すると浸水から漏電のリスクもある。
カラスの投石による破損。 発電量の低下がほぼないため目視点検でないと発見が難しい。 このまま放置すると浸水から漏電のリスクもある。

 

トラブルの可能性がない太陽光発電はありません。問題の発生は内因・外因があり、内因としては、経年劣化(寿命)による故障や破損など、外因としてはイタズラなどによる人的な被害や鳥獣などによる被害、天候(雷や竜巻など)による被害が考えられます。

 

 

固定買取制度は10年~20年と長期的な制度です。中途半端な対応をしていては損をしてしまいます。次回は損をしないようなメンテナンスの中身について説明していきます。

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