前回に引き続き、「税制非適格」で会社を分割するスキームを紹介します。今回は、会社分割スキームの節税効果を説明します。

分割スキームで「相続税」の節約効果も期待できる

前回の続きです。実はこのスキームは、全体の分割スキームの中でさらに税効果を取っています。法人が課税される法人税の節約効果は説明した通りですが、実は相続税(もしくは贈与税)の節約効果も検討しています。

 

分割承継会社の新設時、社長の個人所有の土地を現物出資してもらいました。現物出資は税務上、時価取引とされますので、出資時に譲渡所得として課税されます。

相続対象財産を株式に変更し、株式評価額をゼロに

本件では当該土地の取得原価と出資時の時価に大きな乖離がなく譲渡所得はほぼゼロでした。また出資後、社長は土地の所有者ではなく新会社の株式の所有者となるため、社長の所有する相続対象財産が土地から株式に化けたことになります。

 

土地をそのまま所有していれば相続税評価額はほぼ50百万円でしたが、株式にすれば分割後の株式評価額は純資産が増えるまでゼロになります。従って、相続税または贈与税がしばらくかかりません。

 

そこで、会社分割後、数年かけて社長が所有する新会社の株式を後継者である息子に贈与することとしました。今では無事に贈与も無税で完了し、株式の面では事業承継が終了したことになります。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2017年5月26日刊行の書籍『「事業再生」の嘘と真実 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「事業再生」の嘘と真実

「事業再生」の嘘と真実

弓削 一幸

幻冬舎メディアコンサルティング

コスト削減、管理会計、人事評価制度── ロジックだけに頼るのは今日で終わり! 中小企業約100社を経営危機から救った事業再生のプロが、稼げる事業体質作りを指南。 中小企業・小規模事業者には厳しい経営環境が続いてお…

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