今回は、代表的な投資信託の種類と概要を見ていきます。※本連載では、松本大学松商短期大学部経営情報学科の藤波大三郎教授による著書『たのしく学べるファイナンシャル・プランニング』(創成社)の中から一部を抜粋し、ファイナンシャル・プランニングの基礎知識の中から「金融資産運用」について解説します。

短期金利に連動し金利リスクを抑えた、日本の「MMF」

(2)主な投資信託商品

 

投資信託のうち、公社債投資信託の代表的な商品は、MMF(マネー・マネジメント・ファンド)があります。これは前に述べた米国のMMF(マネー・マーケット・ファンド)を参考にして作られました。

 

米国のマネー・マーケット・ファンドは、その名前の通り、マネー・マーケット、つまり短期金融市場の短期債券に投資を行うものですが、日本のマネー・マネジメント・ファンドは残存期間が1年以上の債券にも投資を行うものでした。これによって銀行の1年定期預金の利率を上回る高い利回りを出そうというのがその狙いであったといわれます。しかし、残存期間の長い債券を組み込めば金利リスクは高くなりますので、問題となります。

 

現在の日本のマネー・マネジメント・ファンドは、残存期間の長い債券を組み込むことはなくなり、米国のマネー・マーケット・ファンドに近づいており、短期金利に連動する商品となっているようです。なお、日本銀行が導入したマイナス金利政策の影響で、短期国債を主な投資対象としているマネー・マネジメント・ファンドは販売停止となっています。

インデックス・ファンドより運用管理費が安い「ETF」

ETFは米国では多く売れている投資信託で、特徴はローコストということです。通常のインデックス・ファンドより運用管理費用(信託報酬)が安いことがメリットです。しかし、分配金の再投資ができないこと、一口の単価が大きいことで通常のインデックス・ファンドより一般の人には購入しにくい点があります。前に述べた通り、試験には上場されていて指値注文、成行注文ができる点がよく出るようです。

 

ちなみに、米国では家計所得の「勤労所得」と「財産所得」が概ね3:1で推移し、財産所得が家計をサポートしていますが、日本では8:1で財産所得が家計の支えになっていません。これは株式・投資信託の保有率が米国は約3割、日本は約1割という現状があるからで、投資信託の一層の発展が日本では求められています。

賃貸不動産の収益を投資主に配分する「REIT」

REITは、会社型の投資信託で不動産投資が手軽にできるよう米国で開発され、日本でも今世紀に入ってから導入されてJ―REITと呼ばれており、世界第2位の残高となって(2015年9月末時点)います。現在では日本銀行の量的・質的金融緩和で日本銀行の購入対象の商品となっています。

 

ペーパーカンパニーを作り、賃貸不動産を保有し、その収益を出資者である投資主に配分するのですが、通常の株式会社と違って、その配当に課税がされていません。これは、利益のほとんどを配当に回すことを条件に法人税が免除されているからです。そこで、いわゆる二重課税がないということで後で述べる配当控除の適用がないのです。

 

不動産投資信託は、基本的にファンドが成長することはなく、配当金を出し続けることに特徴があるので、引退期にある方が年金代わりに配当金を受け取る目的で保有されることもあります。なお、地震による被災を受けた場合など予測不可能な事態によって価格が急変すリスクがある点に注意が必要です。

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