個人向け国債「変動利付債券」の金利の仕組み

今回は、個人向け国債「変動利付債券」の金利の仕組みを見ていきます。※本連載では、松本大学松商短期大学部経営情報学科の藤波大三郎教授による著書『たのしく学べるファイナンシャル・プランニング』(創成社)の中から一部を抜粋し、ファイナンシャル・プランニングの基礎知識の中から「金融資産運用」について解説します。

利率は基準金利に0.66を掛けた値

(4)個人向け国債

 

通常は固定された利金が支払われる固定利付債券ですが、利金の金額が変動する変動利付債券もあります。変動利付債券で一番有名なものが個人向け国債です。これは期間が10年で半年ごとに利金の利率が変動します。基準金利に0.66を掛けた値が利率となることになっています。

 

その基準金利は、発行月の前月の期間10年の国債の利回りとなっています。実は平成23年6月までは基準金利から0.8%を引いた値が利率となっていました。変更前も後も中長期的には理論上は同じになりますが、掛け算方式の方が引き算方式の場合より利率の変動がなだらかになるとされています。

中途解約しても元本は保証される

しかし、この決め方は少々無理な方法ではないかと思われます。長期の金利と短期の金利は、金利スワップという取引手法で交換することができます。その時の短期金利の基準は短期金融市場で決定している金利で日々刻々変動するものです。たとえば、10年の長期金利が1%の時、6カ月の短期金利が0.1%を交換することもあれば、2%の長期金利と0.3%の短期金利を交換することもあります。

 

一般の方にはどうしてこうした交換取引ができるのか不思議かもしれませんが、それはその時点時点の金利の価値を計算する方法があり、それがバランスすると取引が成立します。この取引は日々刻々変わりますので、長期金利と短期金利の差は一定ではありません。ところが個人向け国債では、この差が短期金利の水準は常に長期金利の0.66と考えていることになります。こうした考え方は少し無理があるように思います。

 

ただ、長期的な統計を取りますと長短金利差は2%程度と観察されていることが多いようです。それに長期的な金利予測を考えれば、こうした決め方も可能なのかもしれません。プロの金融機関同士の取引ではこのような大雑把な取引はなく、その瞬間、瞬間の市場の取引をベースに長短金利の交換が行われています。

 

この商品は、中途解約をしても元本は確保されますので、その点の安心感もあります。しかし、債券で元本保証というのは異例であり、前に述べた金利の決め方も含めて、かなり個人向けに条件面で配慮した商品であるといえます。下限金利も0.05%と決められており、現在のマイナス金利政策、そして2%の物価目標の下では個人投資家に有利な金融商品でしょう。

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連載ファイナンシャル・プランニングの知識から学ぶ「金融資産運用」

松本大学松商短期大学部経営情報学科 教授

1954年岡山県生まれ。東京大学法学部卒業後、太陽神戸銀行(現三井住友銀行)入行。さくら銀行資本市場部主任調査役、ルクセンブルグさくら銀行副社長、さくら能力開発センターシニアインストラクター、三井住友銀行人事部研修所上席所長代理等を経て、2008年より現職。中央大学商学部兼任講師、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト協会検定会員、不動産証券化協会認定マスター、宅地建物取引士。

著者紹介

たのしく学べる ファイナンシャル・プランニング

たのしく学べる ファイナンシャル・プランニング

藤波 大三郎

創成社

要所を押さえることで,効率よくFPの知識を得ることができる! 目次 第1章 ライフプランニングと資金計画 第2章 リスク管理 第3章 金融資産運用 第4章 タックスプランニング 第5章 不動産 第6章 相続・事業承継

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