今回は、「地域包括支援センター」による高齢者支援について、周囲から寄せられる期待と、解決すべき課題について見ていきます。※本連載は、社会保険労務士、社会福祉士の資格を活かしたコンサルタントで、「福祉介護業界」に特化した人事制度や労務管理へのアドバイスを全国の顧問先で行う、株式会社シンクアクト代表・志賀弘幸氏の著書、『ビジネスとしての介護施設』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、介護施設の経営改善策を解説していきます。

地域住民の様々な相談を受ける地域包括支援センター

みなさんもよくご存知のとおり、「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取り組みの中で、地域包括支援センターの役割は重要になってきます。その主な役割は次のとおりです。

 

・地域に住む高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり

・介護予防のための援助

・高齢者の保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援すること

 

さらに業務内容としては、

 

・地域住民が安心していきいきと過ごせるようにあらゆる権利を守ること

・介護だけでなく、医療、福祉、生活に関わるあらゆる総合相談を受けること

・要支援・要介護の認定を受けた人や受ける可能性のある人が地域で自立して生活できる よう介護保険や介護予防事業などを活用して支援すること

・暮らしやすい地域を目指して、いろいろな機関と連携しながらケアマネジメントの体制を調整すること

 

しかし現在、地域包括支援センターの業務については、業務量が多すぎる、連携が機能していないため非効率である、人材不足、ケアプランセンター化している、など課題も多く業務内容の見直し、改善が議論されています。

 

今後、「地域包括ケアシステム」の基幹的な機能を期待されているわけですから、現在の課題の克服は急務であると言えます。

今後の地域包括ケアシステム構築における3つの注目点

そのような現状の中で、今後の地域包括ケアシステムの構築に向け、私が注目しているのは次の3点です。

 

①地域の支援体制の構築

②医療・福祉・生活に関わる総合窓口

③地域の機関との連携とマネジメント機能の強化

 

特に①の地域支援体制の構築をするためには「地域の実情、社会資源の把握」が必須事項です。

 

また、②の医療・福祉・生活に関わる総合窓口の実現に向けては、「生活」という部分に注目しています。元気な高齢者、自立している高齢者に対する健康支援、介護予防事業などは新しい事業者が参入することもあるため、広く情報をキャッチするアンテナが必要になります。

 

最後に③については地域福祉のディレクター的機能が求められます。一般的に連携事業の難しさは、「誰がまとめるのか」にかかってきます。そのまとめ役が地域包括支援センターになることが求められています。このまとめ役の差が地域の福祉力の差になるのではないかと思います。

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