社会福祉法人で重要な「理念・成果」を意識したマネジメント

今回は、社会福祉法人で重要となる「理念・成果」を意識したマネジメントについて見ていきます。※本連載は、社会保険労務士、社会福祉士の資格を活かしたコンサルタントで、「福祉介護業界」に特化した人事制度や労務管理へのアドバイスを全国の顧問先で行う、株式会社シンクアクト代表・志賀弘幸氏の著書、『ビジネスとしての介護施設』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、介護施設の経営改善策を解説していきます。

「成功した起業家には必ず名番頭がいる」というが…

「成功した起業家には必ず名番頭がいる」

 

みなさんは、番頭さんと聞いて何をイメージするでしょうか? 社長の右腕として、もしくは相談役として捉える方も多いでしょう。

 

以前、私は名古屋のコンサルティング会社に在籍していたとき、「経営後継者講座」を担当していました。それは、家族経営に近い規模の会社から名古屋を代表する会社のご子息までを1年間にわたり教育するプログラムです。参加するメンバーは二代目の後継者で、人数は10人以下と少数精鋭。月曜日から金曜日、9時半から16時半まで、帝王学、現場の見方・改善、経理、労務、生産、営業など、次期経営者として必要な知識を身につけていっていただきます。また、年間約70社の企業訪問も行います。

 

このプログラムに参加していたある受講生が、企業訪問の際、どこに行っても必ず同じ質問をしていました。

 

「No.2と二代目の違いについて、教えてください」

 

私は当初、No.2も二代目も同じ印象で、なぜ彼がそこにこだわるのかわかりませんでした。ある日、私は彼に「いつも同じ質問をしているね。◯◯君は二代目だよね」と聞きました。

 

すると彼はこう言いました。「うちの会社の今の社長は兄貴なんです。僕は兄貴を支える立場でありますし、もしかするといずれ経営者になる可能性もあるんです」

 

なるほど、でした。その他の受講者は、みんな後継者です。つまり社長の息子ですので、二代目の役割に集中して学んでいたわけです。しかし彼は、すでにNo.2の役割も担っており、企業訪問する度にその質問をしていたのです。そして、その彼の質問は、ほかの受講者にも影響を与え、効果を発揮しました。自分の会社のNo.2を意識してみるようになっていったのです。

 

現社長のNo.2、いわゆる番頭さんと社長の関係を意識して、自分が社長になったときに誰を自分の番頭さんにした方がよいのかを考えるようになっていました。

後継者の「非営利組織マネジメント」は非常に重要

企業訪問で伺った社長からよく教えていただいた先の質問の回答で多かったのは、

 

「二代目は自分の経営したい会社をイメージしなさい。こういう会社にしたいというあるべき姿を描くことが重要です」

 

「No.2は、現社長がどのような経営をしたいのかを知ることが重要であり、その実現に向けた仕掛けや仕組みを作ることです。ただし同時に『ダメなものはダメ』とか、ときには『嫌われ役』になることも重要です」

 

というものでした。明らかに役割が違います。

 

私のそれまでの番頭役に対するイメージは、どちらかというと社長の「イエスマン」でした。「ダメなことはダメ」だと進言できる存在はやはり重要だと改めて感じたのです。

 

介護業界の後継者問題で見ると、戦後まもなく設立された社会福祉法人の経営トップの交代が始まっています。中には三代目という歴史のある社会福祉法人もあります。取引銀行などが後継者講座などを実施していることもありますが、私が携わってきたようなプログラムも、今後は社会福祉法人向けの需要が増えるのではないかと考えています。

 

特に社会福祉法人は非営利組織であるため、利益の継続を目的とするマネジメントとは異なることから、理念や成果をより意識した難しいマネジメントが必要になるため、後継者の非営利組織マネジメントは大変重要になってくるでしょう。

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連載ビジネスとしての介護施設~経営改善の進め方

株式会社シンクアクト代表取締役 志賀社会保険労務士事務所代表
一般社団法人福祉経営綜合研究所理事

1969年生まれ。関西大学卒。
歯磨き剤メーカー、大学職員、コンサルティング会社勤務などを経て、2010年に株式会社シンクアクトを設立。
社会保険労務士、社会福祉士の資格を活かし、福祉介護業界に特化した人材育成、人事考課制度(キャリアパス制度)、労務管理アドバイスなどを全国の顧問先で実践。全国社会福祉協議会キャリアパス生涯研修の指導講師を務め、各地の社会福祉協議会、社会福祉法人、民間介護事業所など、介護特化型のコンサルタントとして支援する顧問先は全国に広がる。

著者紹介

ビジネスとしての介護施設

ビジネスとしての介護施設

志賀 弘幸

時事通信出版局

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