渋谷と横浜を結ぶ東急東横線の元住吉駅から徒歩1分の地に本店を置き、東京・神奈川・千葉の3都県で14店舗を展開する住吉書房。ほとんどの店舗が駅ビルや駅高架下という好立地にあるため、関東圏にお住まいの方であれば、その名前を目にしたこともあるのではないでしょうか。その住吉書房で、17年間にわたって代表取締役社長を務めていたのが片桐和彦氏。2015年9月にM&Aで事業を引き継ぎ、新たな一歩を踏み出した同氏に、事業の引継ぎを決めた理由、なぜM&Aという手法を選択したのかを伺いました。今回はその後編です(本インタビューは2015年10月に収録されたものです)。

M&Aという選択肢を取った理由とは?

――オーナーとして残り、少しずつ権限を委譲するといった方法もあるかと思いますが。


片桐 私自身、店舗経験が長かったから分かるのですが、一番大変なのは、お店のスタッフなんです。だから、彼らから日々上がってくる様々な事案について、常に社長として判断を下し、即答できるかたちにしておきたい。そのためにはリアルな数字をいつも把握しておかなければならないし、それが維持できなくなるのであれば、スパっと辞めるべきだと考えました。オール・オア・ナッシング・・・すべてやるか、辞めるかというわけです。


この中途半端なことができないという性分は、今回の事業の引き続きでM&Aという選択肢を取った理由とも関係があります。これまで会社の数字については、すべて社長の私が見ていましたので、社内の誰かがパッと代わりを務めることができないという現実があります。であれば、書店経営の経験が豊富で、すぐに事業を引き継いでいただける大規模な他社さんに委ねるというのが、スタッフさんたちにとってもベストな道なのではないかと思ったのです。

「会社の数字」は今はまったく気にならない

――M&Aのタイミングとして今年(2015年)を選んだ理由は?


片桐 やっぱり経営環境の変化ですね。住吉書房も、社長を引き継いで最初の13年間はずっと伸び続けることができましたが、ここ4年間は苦戦が続きました。もちろん、以前も良いときと悪いときの繰り返しではありましたが、低迷期にも何かしら挽回の策はありましたし、実際にきっちりプラスに転じることができた。しかし、最近4年間は、何をやっても成果に結びつかない状況になってきたんです。


残るスタッフさんのことを考えると、経営が本当に厳しくなってから買い手を捜すのではなく、買いたいと言ってくれる先があるうちに、M&Aを実現させるべきだと判断したわけです。今年、手を挙げてくれた会社が、来年も同じように手を挙げてくれるとは限りません。常にリアルな数字を見てきたうえでの直感では、今年が「最後のチャンス」とも思ったくらいです。

 

――事業を引き継いで1ヵ月半が経ちます。会社の数字は、今でも気になるのではありませんか。

 

片桐 いえ、まったく気になりません。やっぱり、私にはオール・オア・ナッシングが合っているんでしょうね(笑)

 

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    本原稿は、GTACのクライアントインタビューを編集・転載したものです。完全版はGTAC公式サイトをご覧ください。

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