なぜ「円安」が日本人の生活にマイナス影響を及ぼすのか?

アベノミクスの実施後、一気に進んだ円安(米ドル高)。今回は、こうした円安が日本人の生活に及ぼす影響などについて見ていきます。

収入が増えないのに物価が上がればどうなるか?

どうして円安が日本人にとってマイナスの影響を及ぼすのでしょうか。

 

2007年から2012年にかけて、外国為替市場では確かに円高が進んでいました。1ドル=76円近辺まで円高が進んだ後、安倍内閣が成立してアベノミクスが発表され、一気に円安へと転じました。2013年末には1ドル=105円近辺まで円安が進み、この間には株高も進みました。

 

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本来、円安が日本経済にとってマイナスの影響になるのであれば、株価が値上がりするはずがありません。ところが日本の株価は、日経平均株価で見ると、2013年の1年間で57%も上昇しました。2013年中にこれだけ株価が大きく値上がりした国は、世界で見てもほとんどありません。そのくらい、日本の景気は回復へと向かったのです。

 

確かに、1ドル=76円台というのは、当時の日本経済の実力からすれば、分不相応な円高だったともいえるでしょう。したがって、1ドル=105円前後まで進んだ円安は、日本経済の実力にふさわしい水準に修正しただけにすぎず、株価も本格的な円安によって誘発されるマイナス要因を織り込まずに推移したと考えられます。

 

しかし、これから先、さらに円安が進むと、徐々にではありますが、日本経済にとってマイナスの影響が生じてくるはずです。 

 

具体的に、どのような影響が及ぶのでしょうか。

 

第一に物価が上昇します。1ドル=76円の時、米国から1万ドルのものを輸入した場合に支払う代金を円建てで計算すると、76万円になります。

 

では、1ドル=105円になったら、同じ1万ドルのものを輸入するのに、いくらの円が必要になるでしょうか。そう、105万円です。つまり、1ドル=76円から105円まで円安が進むと、日本円で支払う金額は38%も増えてしまうのです。日本の輸入業者にとっては、コストアップ要因以外の何物でもありません。

 

日本は資源・エネルギーの大半を、海外からの輸入に頼っています。食糧もそうです。円安が進むということは、これらの円建て価格の上昇にもつながっていきます。たとえば石油。日本経済は、石油なしには立ち行きません。その石油の価格が上昇したら、どうなるでしょうか。石油を原材料としたプラスチックなどの化学製品の値段が上がるのは言うまでもありません。

 

さらには、その化学製品を原材料にした製品の値段も上がります。工場の稼働に、石油をもとにしたエネルギーを使う場合にはコストも上がりますし、製品などを運ぶトラックなどの輸送手段も、ガソリン価格の上昇によってコストが上がります。これらのコスト上昇は、最終的に製品の値段に跳ね返ってきます。つまり、世の中全体的に物価上昇圧力が強まってくるのです。

 

もちろん、物価上昇が緩やかなうちは、むしろ経済にとってプラス要因になりますが、度が過ぎれば確実にマイナス要因が強まってきます。あまりにも物価が大きく上昇したら、今まで1000円で買えた物が、1500円、あるいは2000円出さないと買えなくなります。

 

それに伴って収入が増えればよいのですが、グローバル競争下では、労働賃金はより安いところへと集中していきます。新興国で安い労働力を使うことができれば、当然、日本の労働賃金も、そう簡単には上がらなくなるでしょう。

 

収入が増えないのに物価が上昇したらどうなるか。これは簡単に想像できるでしょう。そう、個人消費は落ち込んでいくのです。これが続けば、日本経済は停滞するでしょう。そして、経済の停滞がさらなる円安を誘発する恐れがあるのです。こうなると悪循環です。

 

円安は日本人の生活、そして日本経済にとって、必ずしもメリットばかりではなく、それが行き過ぎれば、むしろマイナスの要因が強まってくるのです。

今後の円安要因を列挙してみると・・・

では、本当に円安が進むのでしょうか。円安が進むと考える場合の理由をいくつか考えてみましょう。

 

第一に、日本の貿易・サービス収支の赤字拡大です。貿易・サービス収支とは、モノやサービスの収支を示すもので、輸出額が輸入額を上回ると黒字になり、輸入額が輸出額を上回ると赤字になります。これまでの推移を見ると、日本の貿易・サービス収支は2010年まで黒字を維持していましたが、2011年以降は赤字に転じ、赤字額の幅が年々増加傾向にあります。


貿易・サービス収支の赤字とは、輸入額が輸出額を上回っていることを意味しますから、円安要因になります。輸入をするためには、円を売ってドルを買わなければならないからです。もちろん、貿易・サービス収支のみが為替の決定要因ではないので一概にはいえませんが、貿易・サービス収支の赤字が続く限り、外国為替市場では潜在的な円安圧力が、かかり続けます。

 

貿易・サービス収支が赤字に転じた2011年以降、円は米ドルに対して大きく買われた局面もありましたが、これはユーロ危機というまた別の要因によって、一時的に円が買われただけにすぎません。しかし、ユーロ危機が一段落するとともに、日本の貿易・サービス収支の赤字幅が増加傾向にあることを考えると、今後、一段と円安圧力は強まるものと考えられます。

 

第二は、超金融緩和の影響です。アベノミクスの下、2013年3月に誕生した黒田東彦日銀総裁は、4月に「黒田バズーカ」と呼ばれる量的金融緩和を実施しました。量的金融緩和というのは、簡単にいうと、バンバンお札を刷ってばら撒くという金融政策です。これによって株価は上昇しましたが、同時に円安も加速しました。

 

このまま量的金融緩和を継続したままにしておくと、次から次へと刷られたお札が、市中にどんどんあふれだすことになります。お金の量が増えれば増えるほど、お金の価値は下がりますから、その分、円は売られます。恐らく日本が量的金融緩和をやめるには、まだ時間がかかるでしょう。一方で、米国は景気が回復傾向にあり、量的金融緩和を終了させるタイミングを計っています。仮に、米国が量的金融緩和を終了させたら、さらに円は売られやすくなります。

 

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第三は、日本の財政赤字の問題です。相変わらず財政赤字は縮小する気配を見せていません。財政赤字が拡大すれば、円に対する信認そのものが揺らぐ恐れがあります。

 

以上、3つの観点から、円安が今後も進む可能性があると考えることができます。前述したように、円安が進むと、日本人の生活にはさまざまな影響が出てきます。それを少しでも軽減させるための方法を考える必要があるのです。

本連載は、2014年10月3日刊行の書籍『本命 米国不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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リーバンズコーポレーション 会長

1953年生まれ。米国在住35年。カリフォルニア州を拠点に保険・証券・不動産・ファイナンシャルアドバイザーとしてキャリアを積み、2002年、ロサンゼルス郊外のトーランスにリーバンズコーポレーションを設立。豊富な不動産の販売・仲介・管理実績を持ち、米国居住者以外の信託活用法など、不動産保有にかかる関連アドバイスにも強みがある。

著者紹介

本命 米国不動産投資

本命 米国不動産投資

ニック 市丸

幻冬舎メディアコンサルティング

成熟経済であり、人口も減少フェーズに入った日本では、国内市場のパイは縮小を続け、不動産マーケットの未来も決して明るくはない。さらに1000兆円を超える財政赤字、超高齢化社会における社会保障費の増大、特に富裕層をター…

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