前回は、「会社の数字」を意識することの重要性について取り上げました。今回は、経営戦略の中身を具体化する「目標設定」の方法を見ていきます。

創業時の理想を実現させる「数字での目標設定」

「○○のビジネスがあれば、社会にきっと役立つと信じて事業を起こした」

「所属していた会社では自分のやりたいことが実現できないと考えたから独立した」

 

もともとは個人事業からスタートしたような中小企業の経営者には、単に社長になりたいから会社を起こしたというよりも、このようになんらかの“夢”や“志”があって、それをかなえるために起業した人が多いはずです。

 

創業時に抱いた理想を実現するためには、明確な目標を持つこと、具体的には目標を数字の形で定めることが大切になるでしょう。

 

将来の目標は、いわば“経営の羅針盤”の役目を果たします。そうした羅針盤を持たないまま行き当たりばったりの経営を続けていれば、例えば新商品の開発など新規の事業プロジェクトを10回行ったような場合でも、おそらく4、5回は失敗することになるでしょう。資金力の乏しい中小企業では、その4、5回の失敗が致命傷になることも十分あり得るのです。

成長のステップに応じた目標値から、経営課題が見える

上場企業では、中長期的な目標値を掲げて、それを実現するための戦略を策定し経営を進めて行くことが当たり前となっています。中小企業が上場企業と同じステージで競いたいのなら、自社が到達したいステージを設定して、それに対応した目標値を定めることが必要です。

 

例えば、企業の成長を次のような5つのステージでとらえたとします。

 

第1段階スタートアップステージ

自宅をオフィスにした個人事業のイメージ

 

第2段階ファミリー&フレンドステージ

家族や友人と小さなオフィスを借りて事業しているイメージ

 

第3段階パートナーステージ

家族・友人以外の従業員もいて、オフィスビルの一部を借りているイメージ

 

第4段階カンパニーステージ

数十人の従業員がいて、オフィスビルのワンフロアを借りているイメージ

 

第5段階IPOステージ

百人以上の従業員がいて、オフィスビルを丸ごと借りているイメージ

 

第1段階のスタートアップステージから第2段階のファミリー&フレンドステージに進むにはどれだけの売上や営業利益が必要となるのか、また第3段階のパートナーステージから第4段階のカンパニーステージに到達するためにはどれだけの売上や営業利益が必要となるのか──というように成長のステップに応じた形で、売上・営業利益の目標値を具体的に設定していくことにより、それを実現するための経営課題も見えてくるでしょう。

 

そして、その課題を解決する方策を探るなかで、立案する経営戦略の中身もより具体化していくことになるはずです。

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