前回は、ハワイ不動産の「売買契約書」のうち、特別条項等について解説しました。今回は、ハワイ不動産の所有形態の1つである、「Co-op(コープ)」の概要を見ていきます。

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ハワイの「Gold Coast」に立ち並ぶコンドミニアム

ハワイにも、オーストラリアと同じく「Gold Coast」と呼ばれるエリアがあるのをご存じでしょうか?

 

ワイキキからKalakaua Ave.(カラカウア・アベニュー)を東に進むと、カピオラニ公園があります。右手にワイキキの青い海を臨みながら進むとワイキキ水族館が、そしてThe New Otani Kaimana Beach Hotel(ニューオータニ カイマナビーチホテル)が見えてきます。ニューオータニから先、そして世界的に有名なハワイの象徴でもあるダイヤモンドヘッドの麓までのエリアを「Gold Coastエリア」と呼びます。

 

ここには17棟のコンドミニアムが建ち並んでいますが、現在では建築不可能なほど、海に面して建築されています。目の前には永遠に人々を魅了するハワイの碧い海と水平線が広がり、夕暮れ時には刻々と美しいグラデーションを作り出すトワイライトを眺めることができます。また、後方へ目を向けると凜としたダイヤモンドヘッドが雄々しくそびえ立ち、カピオラニ公園の広々とした緑を自分の庭のように感じることができます。

 

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コンドミニアムからの眺め
コンドミニアムからの眺め
ダイヤモンドヘッド
ダイヤモンドヘッド

コープの物件は基本的に減価償却が使えない

ここに建ち並ぶ17棟のコンドミニアムのほとんどは、1950年代に建築されました。そしてその多くが「Co-op(Cooperative Apartment) 」という形態で建てられました。

 

Co-op(コープ)とはあまり聞き慣れない言葉かと思いますが、コープは通常の不動産の所有形態とは異なります。ハワイ全体ではあまり見かけない所有形態ですが、ニューヨークなどでは割と一般的なものです。

 

[図表1]Gold Coast 全体図

 

[図表2]Gold Coast 所有形態

 

まず、コープではプロジェクト全体の所有権を、1つのエンティティ(Corporation、PartnershipもしくはTrustなどにあたる企業)が保有しています。その中で1つのUnitを購入するということは、不動産を購入するのではなく、「そのエンティティの持分を持つ」ことになります。また、その際は名義を法人にすることはできず、基本的には個人名義で持分を所有する必要があります。

 

購入者は、不動産を所有するわけではないため、Deed(不動産の譲渡証)は発行されず、その代わりに個別のUnitを占有する権利を得ることになります。持分を持っている人だけがそのエンティティとのリース契約を締結することができ、それがその部屋を購入することと実質的に同義になる、ということです。

 

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要は、Asset Holding Companyの株式を持つことで、その資産の一部の占有が認められるのです。プロジェクト全体の法的な所有者はエンティティになりますので、固定資産税の請求も個別には来ず、エンティティに対して請求され、それを持分に応じて案分されます。その案分された固定資産税は毎月の管理費に含まれることになります。

 

また、コープの物件を購入する(持分を所有する)ためには、取締役会の面接もあります。元々コープはそのコミュニティに参加するにふさわしい人を選別することも目的としており、なぜ購入したいのか、購入後どのように利用するつもりなのかなどの質問への適切な回答が求められますので、なかなかハードルが高いかもしれません。

 

コープの物件は冒頭お伝えしたとおり、1950~60年代に建築されたものが多く、日本人からすると、税務上、減価償却を計上したいところです。しかし、このコープという所有形態の特徴上、不動産を所有しているわけではなく、あくまでも会社の株式を保有しているだけという形態なので、減価償却の計上はできません。

 

そのあたりをご理解の上で、コープに参加していただきたいと思います。ハワイにおいても最も希少性の高いGold Coastエリアで、ハワイの静かな風を感じながら海を眺める、というのは至福の瞬間ではないでしょうか。

 

Gold Coastにも一般の不動産同様に完全所有権として所有可能な部屋もありますので、いわゆるワイキキのど真ん中とはまた違う、ハワイ本来の自然を感じて過ごしたいという方は、このGold Coastエリアにもご注目いただければと思います。

 

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