電力会社の切り替え・・・どのような準備が必要なのか?

今回は、電力会社の切り替えに必要な準備について見ていきます。※本連載は、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『エネルギー自由化は「金のなる木」70の金言+α』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、電力小売り全面自由化を活用し、黒字経営を実現する方法をQ&A方式で説明します。

小さな店なら、直近1カ月の電気料金明細を準備

Q:切り替えって大変なの?見直しの手続き方法は?

 

A:切り替えのステップは、複雑ではありません。

 

電気料金見直しに関する不安や疑問が解消されたところで、電力会社の切り替えまでの3つのステップを確認していきましょう。

 

<ステップ1 事前準備>

 

電気料金を見直す場合、現状を確認することが大切です。具体的には、現在どのような契約をしているのか、毎月どれくらいの電気を利用しているのかを正確に把握することです。自社に合った電気料金プランを見つけることができる初めの一歩になります。

 

そのためには、これまでの電気料金明細が役立ちます。小さなお店の場合は、直近1カ月の電気料金明細を準備できれば、大丈夫です。

 

しかし、少し大きめの規模の施設は、直近1年分(12カ月分)の電気料金明細を準備してください。12カ月分の明細が必要となる理由は、電気利用方法は季節によって大きく異なるためです。

 

1カ月分の電気料金明細だけでは、電気を利用しているオフィスや店舗、工場などの施設の1年間を通しての電気の利用パターンがわかりません。そのため本当に適している電気料金プランを見つけるのが難しくなります。

 

少し面倒と感じるかもしれませんが、12カ月分の電気料金明細を準備することにより、各電力会社からより適切な料金プランを提案してもらえます。

 

手元に12カ月分の電気料金明細が見当たらない場合は、現在契約している電力会社に問い合わせて、過去の電気料金明細をもらえるかどうかを確認してみましょう。

料金プランは1000種を超える・・・比較サイトをチェック

<ステップ2 プラン比較や見積り依頼>

 

電気料金明細の準備が終わったら、次は料金プラン選びです。電力会社は、現在400事業者(2017年5月30日現在)。すべての電力会社の家庭向けから企業向けまでの料金プランを合計すると、1000種を超えています。すべての電力会社が全国展開をしているわけではありませんが、それにしても多いと感じるでしょう。

 

料金プランは、電力会社のホームページやパンフレットに詳しく掲載されていますので、そちらで確認していくのがひとつの方法です。とはいえ、一つひとつの会社のホームページやパンフレットを見比べるのは、とても大変です。

 

この多様なプランを比較する時間を短縮する方法として、インターネットを活用する方法があります。電気料金の比較サイトや一括見積りサービスを活用する方法があります。

 

電気料金の比較サイトは、電気の使用量などを入力すると、該当する電力会社のなかからお勧めの料金プランを複数紹介してくれます。推薦されたプランから比較して、自社に最適だと思われる電気料金プランを選択することができます。

 

一括見積りサービスは、引っ越しの一括見積りサービスなどをイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。一括見積りサービスの運営会社に電気料金明細などの情報を渡すと、複数の電力会社への見積り依頼を代行してくれます。

 

一括見積りサービス経由で集まってきた見積りを比較検討できます。ただし、一括見積りサービスを運営する会社は、ある程度の規模の施設でないと、見積り代行自体を受け付けてくれない場合があります。

 

電気料金の比較サイトや一括見積りサービスは、電気の利用者は手数料なしで利用できるものが一般的です。そのため両方とも非常に魅力的なサービスですが、ひとつ注意点があります。

 

比較サイトや一括見積りサービスは、電力会社から広告費用や手数料をもらって運営している場合がほとんどです。海外では、広告費用や手数料を多く支払ってくれる電力会社を優遇して紹介したなどで利用者とトラブルになっているケースがあります。利用する場合は、こういった事情も念頭に入れて活用してください。

 

また、料金プランの注意点としては、契約期間や支払い方法が挙げられます。契約期間に縛りがあると、途中解約をする場合は、違約金を支払わなくてはいけません。

 

また、新しい電力会社のなかには、支払い方法をクレジットカードなどに限定している電力会社や、支払いのタイミングが今までの契約よりも早くなるケースがあります。会社のキャッシュフローにも影響しますので、契約前に確認しておく必要があります。

 

また、インターネット・電話などの通信費やガスなどの光熱費とセットで割引をしてくれるプランも存在します。電気料金の削減と一緒に自社が削減したいコストがないか、改めて調べておくことで、より適切なプランを探すことができます。

 

<ステップ3 申し込み/契約の切り替え>

 

どの料金プランにするか、また、どの電力会社にするかを決めたら、申し込みを行います。この際に現在契約中の電力会社への解約手続きは不要です(高圧・特別高圧の場合については、必要になります)。

 

新しい電力会社への切り替えの目安としては、概ね1カ月程度となります。また、このタイミングで電力利用料を計測する機器が取り換えられる場合もあります。アナログメーターからスマートメーターになります。

 

スマートメーターへの機器取り換え費用は、原則無料です。スマートメーターが設置されることで、これまでよりも詳細な電気の利用状況を把握することができます。

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連載企業のための「電力小売り全面自由化」を活用した黒字経営術

一般社団法人エネルギー情報センター 理事

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクトなどに参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に起業後、RAUL(ラウル)社を設立。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、現職。
「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広く伝えること」「デジタルテクノロジーとエネルギー・環境を融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆・講演活動などを数多く実施。
主な著書にAmazonベストセラー第1位(エネルギー一般関連書籍部門)となった『エネルギーデジタル化の未来』(2017年、エネルギーフォーラム)のほか、『3時間でわかるこれからの電力業界―マーケティング編―5つのトレンドワードで見る電力ビジネスの未来』(2016年、good.book)など。

著者紹介

エネルギー自由化は「金のなる木」70の金言+α

エネルギー自由化は「金のなる木」70の金言+α

江田 健二

エネルギーフォーラム

2016年4月から「電力小売り全面自由化」が始まり、にわかにクローズアップされた「電気料金」。本書では、エネルギーのコスト削減方法、そして新規事業としてエネルギーの取り扱いを始めることについての素朴な疑問に答えてい…

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