契約者貸付制度を活用して「資金の流動性」を確保する方法

前回に引き続き、「一時払い終身医療保険」がテーマです。今回は、「契約者貸付制度」の概要と、活用時のポイントなども合わせて見ていきます。

契約者貸付制度の利用では利息の積み上げに注意

連載の第21回で紹介した積立型医療保険は、15年目終了時を迎えるまでの資金の流動性のなさがデメリットでした。しかし一時払い終身医療保険の場合は、「契約者貸付制度」が活用できます。

 

契約者貸付制度とは、解約返戻金の90%の金額まで、保険会社が融資をしてくれる制度です。保険会社から借り入れをしている状態なので、借入利息は積み上がります。

 

この制度を利用すれば、たとえば1年目で相続が発生してしまった場合に、財産評価は20%下がったものの残りの相続税を支払う資金がない、もしくはその後の生活で現金がどうしても必要な状況になっても一時的に借り入れをして解決できます。こういった資金の流動性も、相続税対策として保険を選ぶうえで重要な検討材料になります。

 

契約者貸付で気を付けなければならないのは、金利です。保険会社にもよりますが、契約者貸付の金利はおおむね2.3%から3%の間です。10万円を借りれば年間で2300〜3000円が利息として計上されます。

 

保険独特の借入制度の仕組みは、仮に金利が発生したとしても、いずれ保険を解約したり、保険金を受け取ったりした場合などに相殺できる仕組みです。ただ、借りたまま返さずに放置してしまうと、いつの間にか金利が雪だるま式に増えていき、最終的に戻ってくる元本に影響が出るような大きな額になってしまいます。利息の額と解約返戻金を相殺したら、手元に現金として戻ってくる額が財産評価である2400万円を下回ってしまうことにもなりかねません。財産評価の圧縮を狙ったのに、結果的に資産価値を落としてしまうことになります。

 

相続発生後の資金のやりくりに不安がある場合は、契約者貸付制度は心強いものですが、借り過ぎてしまわないように注意し、借りた場合はせめて金利分だけでも毎年返済していくようにするなどを心がけておく必要があります。

6000万円の財産を「相続税ゼロ」にできるケース

それでは、一時払い終身医療保険を利用して相続税額をゼロにできるケースを解説します。

 

●被相続人・・・父親(95歳)

●相続人・・・母親(89歳)、子3人(67歳、63歳、55歳)

●相続財産・・・6000万円(現預金3000万円、不動産他3000万円)

●基礎控除額・・・5400万円

 

相続財産が6000万円で、法定相続人が4人いる場合です。6000万円という財産評価は、増税前であれば基礎控除額内に収まりましたが、税制改正によって基礎控除額を上回ってしまい、相続税の支払いが生じてしまいました。

 

この相続税をゼロにするためには、財産評価を法定相続人4人の基礎控除内である5400万円までに収めればいいのです。

 

現預金が3000万円あるので、これを保険料として、子1人と一時払い終身医療保険を契約します。すると契約してすぐに20%の評価減となり財産評価が600万円圧縮されて2400万円となります。もともとの不動産他の3000万円と合わせると、ちょうど基礎控除と同じ額となり、契約した瞬間から9年目までいつ相続が発生しても相続税はゼロです。

 

仮に、10年目まで相続が発生しなかった場合には、父親が投じた元本をいったん100%回収することができ、相続対策は終了します。そこでもう一度同じパターンで契約することもできます。再び1年目から9年目までの解約返戻率80%の状態にしておいて、相続発生に備えるのです。

本連載は、2014年10月3日刊行の書籍『相続税をゼロにする生命保険活用術』から抜粋したものです。
本連載資料は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2014年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。
個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。

(注記)本来、相続税対策においては、保険をはじめとしてさまざまな金融商品・現物資産スキームを組み合わせての対策となりますが、本連載では効果をわかりやすく説明するために、最大限に生命保険を活用したかたちでケーススタディを掲載しています。

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GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

相続税をゼロにする 生命保険活用術

相続税をゼロにする 生命保険活用術

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

平成27年の税制改正を前に、各種メディアに溢れかえる相続税対策の数々。しかし主流である不動産を使った対策をはじめとして、どれもこれも導入に手間がかかるうえに、投資額を棄損するリスクが高いものばかりです。生命保険な…

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