中小企業が「メインバンク」を変更するメリットとは?

前回は、企業のリファイナンスを可能にする「財務健全化」のプロセスについて取り上げました。今回は、中小企業がメインバンクを変更するメリットを見ていきます。

条件次第ではメガバンクにも相当する「地銀の利率」

取引している金融機関、とりわけメインバンクの動向が自社の財務に大きな影響を及ぼすケースもあります。たとえば、新規事業のために複数の取引銀行に新たな融資を要請した場合、まずはメインバンクの承諾を得ることが基本になりますが、メインバンクに断られたら、それ以外の銀行もメインバンクの意向に沿った形で融資に応じてくれないケースもあります。

 

今のメインバンクに満足しているなら、先代社長のときと同様にそのまま取引を維持すればよいのですが、もし、不満な点、対応に物足りない点などがあれば、変更を検討することも一つの手です。

 

前述したリファイナンスを現在のメインバンクに求めて断られたような場合には、メインバンクを替えることでそれが可能となることもあります。

 

メインバンクを替える場合、選択肢としてはいわゆるメガバンク、地方銀行(地銀)、信用金庫の3つが考えられます。ひとくちに地銀や信金といっても、規模などにより大きく違いはありますが、大まかな特徴は次の通りです。

 

まず、メガバンクは、中小企業に対してきめ細かいサービスを提供していない場合もあり、融資の際の審査も厳しくなります。反面、資金量の大きさや海外取引の充実、利率の低さなど、メガバンクがメインであることの与信上の効果もあります。

 

一方、信金は最も面倒見がよく、地域密着ならではのサービスに期待ができます。ただ、利率が高い傾向にあるという難点があるかもしれません。

 

この中間にあるのが地銀です。信金と同様に地域の中小企業をしっかりとケアしてくれる一方、それなりの資金量も確保されており、利率も条件次第ではメガバンク相当になる可能性があります。

メインバンクを地銀に替え、リファイナンスを実現

●メインバンクを変更して成功した例

 

事業承継の際にメインバンクを変更し、財務の健全化に成功したケースをご紹介しましょう。

 

ある機械工作メーカーでは、創業時からの借入が多く、若干、債務超過の状態に陥っていました。取引銀行は5行で、メインバンクは政府系の金融機関であり、それ以外は地銀や信用金庫が中心でした。

 

後継者の社長は、先代の頃から続いていたリスケ状態を解消して、財務を正常化させたいという意向を持っていましたが、はじめにメインバンクにリファイナンスの相談をしたものの、芳しい返事を得られませんでした。そこで、準メインバンクだったB地銀に話を持っていったところ、幸いにも好意的な反応が返ってきたので、事業計画書を作成し提出しました。その結果、この会社はメインバンクをB地銀に替えて無事リファイナンスを実現できたのです。

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載親族内の事業承継を成功に導く――財務の基本と戦略

株式会社わかば経営会計 代表取締役
公認会計士・税理士・中小企業診断士

1984年、兵庫県神戸市出身。2006年、京都大学経済学部卒業、在学中に公認会計士試験に合格し、大手監査法人・中堅税理士法人での勤務を経て、2013年に大磯経営会計事務所(現「わかば経営会計」)創業。「中小企業の未来を創造する」を経営理念に、事業承継・M&A企業再生といった中小企業向けの財務・経営コンサルティングおよび税務サービスを展開。

著者紹介

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

大磯 毅/中山 昌則

幻冬舎メディアコンサルティング

戦後70年を迎え、多くの中小企業に降りかかっているのが「事業承継」の問題です。 しかし、現社長のなかには景気の低迷、適当な人材の不在などの理由から廃業を考える人が少なくありません。また、社長の息子や親族などの後継…

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