前回は、安定経営の実現には「明確な経営目標」が不可欠な理由を説明しました。今回は、企業の「経営理念」が業績に与える影響について、具体的な数字を例に見ていきましょう。

経営目標は「5年」で達成できるものを設定

具体的かつ現実的な目標設定をする際に目安になるのが「5年」という期間です。

 

●5年後にどのくらいの業績を上げていたいか

●5年後にどのような会社でありたいか

●5年後の会社の規模はどのくらいか

 

こうした観点から目標設定を行ってみてください。最終的にどうなりたいかという目標を持つことは経営者個人のモチベーションや支えになるものですが、それを5年という期間で区切り、5年ごとに目標達成度や目標の現実性をチェックします。そのうえで、また新たな期間と目標を設定し、最終的には大きな目標へと到達させるべく経営を続けていくのです。

 

この方法をさらに精度を上げて綿密を期するのであれば、5年、3年、1年と期間を区切ってもよいでしょう。そのときまでにどうなりたいかという目標から逆算して、現在すべきことを明らかにして進んでいくのです。

 

こうした目標設定によって、ただ漫然と日々の業務をこなすだけの経営だったものは、必ず大きく変わります。目先の仕事や損得に振り回されているようでは、事業再生など到底なしえません。

「経営理念」が独自性を生み、会社を強くする

目標設定の次に考えるべきポイントは経営理念です。経営方針、経営戦略の意思決定には、この経営理念が大きく影響します。

 

そして、経営理念を掲げることは、経営者の事業にかける思いが見えるようになり、会社の精神的な支柱として、社員の日々の業務を支える効果も生みます。一方で、経営理念が明らかにされていない会社は、社員がそれぞれバラバラな判断や行動をしがちであり、結果的に強い会社づくりを妨げることになってしまう恐れがあるのです。

 

経営理念の意味はそれにとどまりません。たとえば困難や会社の岐路というべき状況に対峙した際に、経営者自身の精神的支柱としての拠り所ともなります。さらに、経営理念は「独自性」を生む源泉でもあります。つまり、経営理念はあなたの会社の強みであり、利益を生み出す重要な要素なのです。

 

実際、経営理念と利益は深く関係しているといわれます。次の図は売上規模別・経常利益額別に見た「経営理念の有無」を示しています。

 

ここには明らかな相関関係が見て取れるのです。売上規模が大きくなるほど経営理念があると答えた会社が多く、さらに、経常利益額が大きければ大きいほど、その会社には経営理念があるという例も明らかになっています。

 

[図表]売上規模別・経常利益額別に見た「経営理念の有無」

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    本連載は、2017年3月23日刊行の書籍『「万年自転車操業」の会社を「万年安定経営」に変える方法 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    小林 優一

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