不動産で「わらしべ長者」のように資産を形成する方法とは?

前回は、減価償却を利用したタックスマネジメントの考え方について説明しました。今回は、不動産投資における効率的な資産形成の方法と、計画の立て方について見ていきます。

大部分がローンでは「資産を持っている」とはいえない

中古一棟を持ち続けるのか、売却するのか。あるいは1棟のみ保有するのか、2棟、3棟と買い増していくのか――。

 

実際には、毎月いくらの収入を得たいかを先に決めた上で不動産ポートフォリオを組み、資産を入れ替えながら資産を拡大していくことが安定収入と将来の資産形成につながります。ところが、投資家の方々と面談をしていると、

 

「購入した物件はずっと持ち続けなければならない」

 

「借入金の返済が完了するまで持ち続けよう」

 

と考えている方も少なからずいらっしゃいます。そうした方々は、借入期間中はずっと保有して家賃収入から返済を続け、完済後に利益が多く出るとの考えなのでしょう。しかし、新たに資産形成をする前提においては、収益不動産は適切なタイミングで売却するのが不動産投資の原則です。

 

不動産投資の成績は、「保有期間中の累積税引後キャッシュフロー+売却時の税引後キャッシュフロー」ということでした。売却してはじめて確定する利益を新たな不動産の購入資金として再投資し、段階的に資産を増やしていくのです。

 

この資産形成のプロセスを、私はよく「わらしべ長者」にたとえます。これは説明するまでもなく日本の童話で、貧乏な一人の男がわらを元手に物々交換を繰り返し、最終的に大金持ちになるという話です。この話になぞらえて、収益物件を適切に組み替えながら、少しずつ自分のお金を増やしていくのです。ここでいう「自分のお金を増やす」とは、保有物件における自己資本比率を上げるという意味で捉えてください。

 

借入を起こして不動産投資をするというのは、自分の資産のうち、他人のお金が一定の割合で入っているということです。フルローンの場合は他人資本が100%、自己資金30%の場合でも他人資本が70%。この状態では本当の意味で資産を持っているといえるでしょうか。

 

仮に毎月の家賃収入が数千万円になったとしても、借入比率が多ければ、本当の意味で資産形成を成したとはいえません。借金をして1億円の物件を持っているのと、借金のない状態で1億円の物件を持っているのとでは、いうまでもなく全員が後者の状態を望むはずです。

資産を組み替えながら「規模の拡大」を図っていく

不動産投資は小さく始めて、徐々に大きくしていく。このプロセスをシンプルなモデルに当てはめてみてみましょう。ポイントを理解しやすいよう、売買諸費用などは考慮していません。

 

【1棟目】

物件価格:5000万円

年間家賃収入:500万円(表面利回り10%)

自己資金:500万円

借入:4500万円(金利3.0%、返済期間20年)

運営費用:満室家賃の20%

空室率:年間5%

賃料下落率:毎年▲1%

 

この物件を6年間保有後、「売却価格4300万円(売却表面利回り11%)」という条件で売却することになりました。その結果、投資成績は次のようになります。

 

6年間の累積税引後キャッシュフロー:260万円

売却時の税引後キャッシュフロー:740万円

最終利益:260万円+740万円=1000万円

 

つまり、収益物件を5年間運用したことで、もとは500万円だった自己資金が2倍の1000万円になったということです。わらしべ長者的資産形成のプロセスでは、次のステップとして二つの方法があります。

 

(1)同じ借入比率のレバレッジを利かせて、1億円の物件を購入する

(2)自己資本比率を10%から20%に上げて、1棟目と同規模の物件を購入する

 

(1)の場合、1棟目と同じように5年間運用して売却できれば、自己資金がさらに2倍の2000万円になる可能性があります。

 

(2)の場合、返済金額が減ることで経営が安定します。そして同様に5年間運用して売却できれば、計算は割愛しますが自己資金は1600万円になる可能性があります。

 

このいずれかを繰り返していくことで、自己資金(現金)を増やしていけるのです。実際には、1棟だけを入れ替えていくわけではなく、2棟、3棟と複数棟を持ちながらキャッシュフローを生み出しつつ、同時に節税も図りながら、資産を拡大させていくプロセスとなります。

 

行き着く先の最終目標の姿は投資家によって異なると思いますが、数十年で増やしたキャッシュを元手に人気エリアの駅前一等地に、一棟マンションを現金で購入できれば最高の資産形成ではないでしょうか。

 

 

[図表]資産形成のイメージ

 

あるいは、事業としてさらに拡大させていく方向性も考えられます。借入をさらに増やしてレバレッジを利かせて、家賃収入をどんどん拡大していくのです。自己資本比率を高めるのが本当の資産形成だとお伝えしましたが、投資家によっては借入のリスクを伴ってでも家賃収入を拡大することを望むかもしれません。理想や目標は一人ひとり違っていいと思います。

 

不動産投資を始める前にゴールを定め、そのためにはどの程度の規模の物件を、どのような組み合わせで、どのタイミングで入れ替えていくのか、もしくは買い増していくか、これらを総合的に考えて計画を立てる必要があります。ぜひご自身の目標と照らし合わせて計画を考えてみてください。

本連載は、2014年11月4日刊行の書籍『はじめての不動産投資 成功の法則』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載「中古一棟買い」で成功する不動産投資

大和財託株式会社 代表

昭和55年生まれ。三井不動産レジデンシャル株式会社を経て、収益不動産に特化した事業を展開する武蔵コーポレーション株式会社で収益不動産の売買仲介および賃貸管理業務についての実務経験を積む。
平成25年に独立して大阪市内に大和財託株式会社を設立。
収益不動産を通じて、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている。
特に、物件情報をすべて数値化し、資金調達、物件購入、管理運用から売却までを視野に入れた収支シミュレーションに定評がある。
管理物件の平均入居率は98パーセントを誇る。

著者紹介

はじめての不動産投資成功の法則

はじめての不動産投資成功の法則

藤原 正明

幻冬舎メディアコンサルティング

東京五輪による地価上昇の影響もあり、注目を集めている不動産投資。 しかし、実際に投資をはじめようとしてもはじめての人には分からないことだらけでなかなか手が出ない、ローリスクと聞いて始めてみたけれど、成功というに…

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