NZの地方不動産市場――「実態価格」を見極める方法②

不動産投資において、その物件の「実態価格」を知ることは極めて重要となります。今回は、市場価格の特定方法について見てみましょう。

市場価格より安い物件を見つける機会を増やすには…

前回の続きです。

 

市場価格はその地域の最近の売上状況を見て、それらの物件(=売れた物件)と自身の物件とを比較することで知ることができます。もし自身の物件がそれら物件に劣る場合には、市場価格は包括的な需要を下回っていることになります。

 

反対に自身の物件の方が優れている場合は、市場価格が包括的な需要を上回っていることになります。この比較をここ最近に売られた数多くの物件に対して行うことで、物件の市場価格を正確に割り出すことができるようになります。

 

市場価格よりも安く販売されている物件をみつける機会を増やすには、モチベーションの高い売り手、不良マーケティング、質の良くない不動産業者、放置物件などをみつけることです。

 

より多くの物件をみていく中で、優良物件は群を抜いており、疑いの余地なくバリュー・プロポジション(=価値命題)が優れていることがわかります。そうした物件を見つけた場合、すぐに押さえるべきです。信頼のおける業者からの電話があったなら、小切手を持ってすぐに駆けつけ、物件を押さえましょう。

実態価格を得るために加味すべきことは?

自身が所有する物件の公正な市場価格を知ったのなら、次は実態価格を得るための調整を行いましょう。以下のリストは包括的なものではありませんが、その調整に影響を与えるいくつかの要因が示されています。

 

①実態価格の特定:隠れた将来性にはプラスを。

 

②開発の可能性:もし自治体が分譲、あるいは2次的住居の建築、部屋の増築、ガレージの改築等を許可することが分かっているのなら、実態価格はプラスになります。

 

③リノベーションの可能性:物件が朽ち、リノベーションの必要性がある場合には、実際のリノベーションにかかる費用以上の価値が市場価格に反映されます。もしリノベーション費用が4万NZドルであれば、物件価値は8万NZドルまで引き上げることができるかもしれません。仮に貸し出す場合でも実態価格はプラスになります。

 

④賃料上昇の可能性:もしスリープアウト(=離れの小さな家)の増設によるホームインカム、部屋を増築することで賃料の上昇が見込める場合や、ある特定の地域の賃料が短期間に上昇することが分かっている場合には実態価格をプラスにします。

 

⑤広い土地:物件が広大な敷地に建てられている場合には利回りだけを当てにしてはなりません。たとえ今分譲ができず、また本人にそのつもりがなくても、物件価値が不相応に上昇する可能性があるため、実態価格をプラスにします(分譲を念頭において土地に投資する場合は、税の専門家に相談するとよいでしょう)。

 

⑥高い流動性:緑で覆われた素敵な地域にある物件、急速に人口が増えている地域の物件、多くの裕福な買い手(特に住宅購入者)を魅了する物件は、最終的に売却する際には高い値が付くことを意味するので実態価格をプラスにします。

 

⑦貧しいとされる地域:新聞や別の投資家がある地域について偏見や先入観を抱いている場合は実態価格をプラスにできます。

 

⑧インフラ:もし鉄道の駅や道路の新設、工場の拡張、またはモールの新設に関する情報を得ている場合は、その周辺の物件価値の高騰が期待できるため、実態価格をプラスにします。

 

⑨買い替え原価:インフレ・コストや買い替え原価(リプレースメント・コスト)が購入原価を上回る場合は、全ての物件の実態価格をプラスにします。

 

⑩不況市場:これは重要なことです。8年から10年ごとにわたしたちは不況を経験しますが、その間マスメディアは非常に悲観的になり、銀行は貸し渋り、失業率は上昇し、物件価格は下落します。市場が不況の場合には実態価格をプラスにします。

 

洗練された不動産投資家は格安物件で利益を得ようとはしません。彼らは実態価格を割り出し、市場価格に近い物件を購入しますが、それでもなお非常に多くの利益を得ています。

実態価格を導き出す「6つの方法」

①費用

投資家であれば、全ての費用、特に管理組合費(ボディ・コーポレート・フィー)や借地代(リースホールド・フィー)といった投資家がコントロールできない費用の特定には細心の注意を払うべきです。明らかに低い賃料設定が想定される安価な物件であっても、固定資産などの経費は変わりません。

 

ストーブの交換費用はNZ国内であればどこでも同じですが、週500NZドルに対して週250NZドルの賃料では支払いが長くかかるため、賃料に基づいて実態価格をマイナスにします。

 

②狭い土地

狭い土地や、狭い土地に建つ物件、特にアパートメントですが、実態価格をマイナスとすべきと考えます。

 

しかしながらロケーションについても考慮する必要があります。借地or借地権またはリースホールド権の付いた土地については、リース料支払額が上昇する可能性やキャピタルゲインが欠如していることから、実態価格を最大限マイナスにします。

 

③コントロール性の難しさ

共用の私道、共同住宅、2次的住居(マイナー・ユニット)、管理組合の関与、交差するリース空間、借地権等は、物件に対する自治性を減少させるため、リスクとして捉えるべきです。これは、こうした物件には投資すべきでないという意味ではなく、それらの実態価格はマイナスとすべきということです。

 

④貧しい地域

脅威または危険を感じる地域については、実態価格をマイナスにします。わたしはこれを「にらみ返しテスト」と呼んでいます。もし地域内を車でドライブし、あなたの笑顔に対してにらみ返してくるようであれば、実態価格をマイナスにします。

 

⑤下落傾向にある地域

様々な理由から、特定の地域、都市、または地方においてさえも物件価値が下落することがあります。その際、物件は安価に見えますが、実態価格はマイナスになります。

 

⑥実態価格がマイナスか見極める

8年から10年ごとに、不動産ブームが起きます。誰しも景気の失速を予測できませんが、それでも投資家は厳しい市況に備えているべきです。したがって過熱した不動産市場においては、実態価格をマイナスとします。

 

ここでは、1つ以上の属性が実態価格をマイナスにするからといって物件を不合格とするのではなく、そしてその反対にいくつかの要因が実態価格をプラスにするからといってすぐに物件を購入することではないということです。これは自身の物件につけられた価格と比較して真の価値を分析するために使える検証済みのフレームワークなのです。特定の地域について学び、これを使うほどに物件分析が上手くなるでしょう。

 

以下の2つがこのことを表しています。以下のように、ある理由で実態価値をプラスとし、そして次にマイナスとします。しかし実態価値は市場価値を上回っていることから、一層の自信を持って優良物件であるということができます。

 

 

以下はその逆の場合です。

 

 

それぞれの地域の投資価値は、単純に市場価格に、現在と将来のポテンシャルおよびコストに対する主観価値を反映している要因をプラス、またはマイナスすることで導き出せます。どのような市況でも投資を成功させるには、十分な情報収集が必要です。

「海外不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「国際資産分散」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載償却メリットでも注目!「ニュージーランド不動産」の最新事情

Goo Property JP(TERRY’s WAY株式会社) 代表取締役社長

1992年、奈良県天理大学中退。1993年、個人輸入代理店を起業。ITシステム開発会社のジョイントベンチャー設立などを経て、2003年、グルメデリバリーシステム株式会社(現:Terry’s Way株式会社)を創業。自ら開発した富良野メロンパンの移動販売を手掛け、2004年よりフランチャイズ募集を開始(2007年、100加盟店を達成)。現在は、Terry’s Way株式会社 FOOD事業部として展開中。

2009年、富裕層向け国際会計サービス HENRY INVESTMENT SERVICES pte.ltdを元PWC国際会計士と共同設立(本社:シンガポール)。海外金融サービスや投資スキームのコンサルティングサービス、富裕層開発のマーケッターとして、顧問社数は現在200社を超える。2014年より、海外投資サービスの一環として海外不動産投資のリサーチを開始。2015年、ニュージーランド不動産投資コンサルティングサービスを開始し、GOO Property NZ LimitedをNZ不動産エージェントと共同設立。GOO Property ジャパン (Terry’s Way株式会社)と共に不動産投資コンサルティングサービスを行う。
WEBサイト http://gooproperty.com/

著者紹介

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧