前回は、開業医の相続対策において、頼るべき「専門家」の種類と選び方を紹介しました。今回は、相続に関わる複数の専門家をつなぐ「コンダクター」の重要性を見ていきます。

申告手続きは税理士、揉め事には弁護士・・・

相続では、資産税、不動産、保険、事業承継、金融、遺言など実に幅広い問題に対処しなくてはいけません。しかも開業医の相続の場合は、ここに医業への理解や知識も必要になってきます。これをすべて一人のプロで網羅することは不可能です。

 

ですから、相続税の申告手続きや節税については税理士にお願いし、家族間の揉め事については弁護士にお願いし、不動産については不動産鑑定士にお願いし……というように、ポイントごとにその道の専門家を頼るのが賢いやり方といえます。

 

ただし、彼らはお互いのテリトリーを侵さないよう、専門性に特化した仕事をしていますから、どうしても単独での動きが多くなってしまうものです。不動産一つにしても、税理士は節税に主眼を置き、不動産鑑定士は資産としての活用を優先し、弁護士は家族間での揉め事が起きないことに注力して対策を進めようとすると、各自で動きがバラバラになり、相談しているほうもいったい誰を信じて任せればいいのか分からなくなってしまうのです。

 

オーケストラでいえば、ピアノとトランペットとバイオリンが、それぞれ勝手に音を奏でるようなもので、これでは調和のとれた美しい音楽は生まれません。

専門家同士を繋ぐ「コンダクター」にはFPがふさわしい

バラバラになりがちな専門家同士の間をつなぎ、全体の調和を取りながら連携を図り、相談者にとって一番理想的な対策を考えてくれる「指揮者役(コンダクター)」が相続でも必要です。

 

コンダクターとして最もふさわしいのは、ファイナンシャルプランナー(FP)だろうと私は考えています。特に生保系のFPはお客さまの情報を深いところまでつかんでいることが多く、長いお付き合いになることが多いからです。

 

保険の提案をするときも、いきなり商品を売りつけるわけではなく、お客さまの経済状況や家族関係、心配事、人生で何を一番守りたいと考えているかなどを丁寧にヒアリングしてから、「この商品なら希望をかなえられる」「この方法ならリスクに耐えられる」というものを選んで提案していきます。

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    本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『相続破産を防ぐ医師一家の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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