本連載では、開業医一家が相続破産や病院消滅などの危機を回避し、円満に承継・相続を行うための「専門家」の活用法などをお伝えします。今回は、頼るべき「専門家」の種類と選び方について見ていきます。

相続の専門家はさまざま…専門性・得意分野で区別

相続のプロには、税理士や弁護士、行政書士、司法書士、財務コンサルタント、ファイナンシャルプランナー、相続診断士などがいます。それぞれに得意分野や専門性は異なり、お互いに棲み分けを行っているのが現状です。

 

相続において各々がどういった役割を担っているかを簡単にまとめると、次のようになります。

 

○税理士……資産税(相続税や贈与税など)の節税や生前対策、税の申告書作成、税務調査の対応などを得意としています。相続税の申告書の捺印は税理士にしかできません。

 

○弁護士……家族間での揉め事が起きたとき、クライアントの味方となって動いてくれます。また、承継の際の契約関係など法務面でも頼りになります。

 

○行政書士……事実証明に関する書類等の作成業務が専門です。遺言書の作成、遺産分割協議書の作成、各種金融機関への提出書類など。

 

○司法書士……裁判所に提出する書類の作成を行います。土地の登記、相続放棄の手続き、家庭裁判所に対する調停・審判の申し立てなど。

 

○財務コンサルタント……融資や資金調達の相談や手続き、金融機関との橋渡しなどで頼りになります。

 

○ファイナンシャルプランナー(FP)……ライフプランに合わせた資産設計の手伝い、相続対策のアドバイスなどを中心に行います。資産や財産全般の相談窓口です。

 

○相続診断士……民法・相続税法・遺言状の書き方・エンディングノートの書き方などをサポートします。

「資格を持っている=相続に精通」ではない

これ以外にも、不動産のことについては不動産鑑定士が役に立ったり、M&Aでは経営コンサルタントや医療系コンサルタントが指導・助言を行ったりします。これらの資格を持っているからといって、誰もが相続に精通しているわけではありません。税理士であっても所得税や法人税がメインで、相続税を扱わない人もいます。ファイナンシャルプランナーでも資金運用や生命保険がメインで、相続に詳しくない人もいます。

 

相続というのは、各家庭で事情も内容も千差万別です。すべての家庭に共通して使える万能の技やノウハウは存在しません。ですから、個別に相談に乗り、オーダーメイドで対策を講じてくれる専門家を探す必要があるのです。

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    本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『相続破産を防ぐ医師一家の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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