EU加盟国トップクラスの経済成長率を誇るミニ国家・マルタ。本連載では、知られざるマルタ不動産の最新事情や、実際に投資をする際のポイントなどをご紹介します。

人口の9割が英語で会話できる国!?

この7、8ヶ月、日本の方々に「マルタ」について語る機会を数多くいただきました。しかし、以前からマルタをご存知だった方はほとんどおらず、「たしか・・・英語留学に行く国だよね」という方や、観光でマルタを訪れたことがあって「のんびりしていて綺麗だった」「猫が多かった」(人口約42万人、猫70万匹というデータもあります)という方が少々いらっしゃった程度でした。

 

マルタは、イギリス連邦および欧州連合(EU)の加盟国であり、公用語はマルタ語と英語、通貨はユーロという、欧州の多くの国家が満たしたくても満たせない条件を数多く備えています。そのため、外国人にとっても住みやすく、住むメリットも大きい国家とされています。

 

 

マルタ語はアラビア語の方言とも言われていますが、実際には大きく異なっています。イタリアから近いため、イタリア語が話せる人も少なくありません。2012年の調査によると、全人口のうち89%の方が英語を話せると回答しています。これは、欧州において相当高い割合であると思われます。(出典:European Commission - Special Eurobarometer 386: Europeans and their Languages)

 

マルタの歴史は古く、紀元前5000年より人が住み、古くからキリスト教が普及していました。しかし、小さな島であるため、ビザンツ帝国、東ローマ帝国など、その時代に最も広く領土を広げた国によって支配されてきました。16世紀から18世紀、聖ヨハネ騎士団によって支配された時代に「マルタ」は世界での存在感を確実なものにしました。騎士団長ジャン・パリゾン・ド・ラ・ヴァレットが、オスマン・トルコの侵略を撃退したこともその一因でしょう。彼の名前は現在まで、首都・ヴァレッタの地名として受け継がれています。その後、フランス、イギリスによる支配を経て、1964年にイギリス連邦国として独立しました。このような経緯から、各時代ごとに全く異なった建築様式の遺跡が多く残され、マルタ独自の雰囲気を作り出しています。

 

[図表1]マルタの位置関係

海外投資家・起業家に税制面で優遇措置

1989年、ソビエト連邦最高会議議長ミハイル・ゴルバチョフと米国大統領ジョージ・H・W・ブッシュがマルタで会談し、歴史的な冷戦終結の舞台として重要な役割を果たしました。欧州新制度づくりへ向けて一致団結をうたい、重要な役割も果たしてきましたが、やはり、一般の方々にはあまり「知られていない国家」という国といえるでしょう。

実際は、海外資本を呼び込むため、海外の投資家と起業家に対する税制上の優遇(法人税の最低比率は5%)を行い、相続税、固定資産税、贈与税を免除しています。経済成長率はEUの中でもトップクラスで、2016年のGDP成長率は世界189カ国のうち第31位、欧州ではアイスランド、アイルランドに続く5.04%でした。1人当たりGDPは世界31位25,214ドルと高い生活水準を維持しています。国民は勤勉で、失業率は3.11%とユーロ圏平均の9.8%と比べて相当低くなっています。欧州の中で犯罪率が低い国の1つで、多くの海外企業が進出しています。(出典:IMF - World Economic Outlook Databases)


 

代表的なマルタ進出企業

 

●BMW
●HSBC
●Huawei
●ウェスティンホテル&リゾート
●オラクル
●ダイソン
●ボーダフォン
●マイクロソフト
●メルセデス・ベンツ
●ルフトハンザドイツ航空

 

[図表2]マルタ地図

出典:All About マルタお役立ち地図(https://allabout-malta.com/malta-map/)
出典:All About マルタお役立ち地図

 

日本からの直行便はなく、一般的にヨーロッパ主要都市からの乗り継ぎになります。イタリアのシチリア島から南に90kmの距離にある地中海中部の島国で、正式な国名はマルタ共和国、面積は316km²です。国土は、最大のマルタ島、コミノ島、ゴゾ島および2つの無人島によって構成されています。首都は、マルタ東部にあるバレッタです。海岸線が変化に富むため利便性の高い港が多く、なだらかな地形となっています。


ポルトガルなどと同様に、マルタは経済危機から急激な回復を遂げている最中です。国債を購入し、不動産を購入あるいは賃借することで永住権が取得できるプログラム(一定期間保持されなかった場合には失効します)を実施しており、ビザの問題に悩まされずに長期間滞在し、起業、就職、留学、休息することが容易になっています。次回以降、マルタに住むメリット、不動産投資市場について解説していきます。

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