住居環境の向上を目指すNZ…家主に課せられた「3つの義務」

ニュージーランドでは、賃貸物件において、入居者の健康や安全を守ることを目的に、断熱材の使用、火災探知機の設置、薬物の成分が屋内に残留していないかを確認する「メステスト」の実施を家主に義務付けることとなりました。今回は、それらの具体的な内容を見ていきます。

来年7月以降、規則を遵守しない物件は貸し出し不可に

こちらニュージーランドは冬へと突入。南島では、ちらほらと雪が舞う季節となりました。オークランドでも厚い雲が出現し、一時的な大雨や激しい雷に驚かされることも・・・。そんな寒い冬の日、こうしてペンを取っています。

 

さて、ニュージーランドの賃貸運営の物件では、家主が負担すべき幾つかの規則が新しく設定されました。

 

●床・天井の断熱材設置

●火災報知機

●メサミンテスト=通称=メステスト

 

この3点が強化され、これらの設置が義務化されます。来年7月には、これらを完全にクリアしないと、入居者に住んでもらえなくなります。

国が促進する「快適」「安全」「健康的」な住環境作り

①断熱材の設置

 

(出所)
左:http://www.thefifthestate.com.au/business/government/pink-batt-rebates-are-back-at-least-for-south-australia/70857

右:http://www.eescairns.com.au/Insultaion
(出所)
左写真:http://www.thefifthestate.com.au/business/government/pink-batt-rebates-are-back-at-least-for-south-australia/70857
右写真:http://www.eescairns.com.au/Insultaion


断熱材は上記写真のように、きれいなピンク色の綿状の素材もあり、同じく茶色のフカフカした素材もあります。また、発泡スチロールでできた板を使う場合もあります。基本的に木造建築の家が主流のニュージーランドでは、築年数が古い家ほど断熱材の設置がされておらず、またそのような家は隙間も多いため、いくら暖炉で薪を燃やしても、なかなか暖かくなりません。特に冬は雨が多くジメジメするため、室内の壁にカビが発生するなど、快適な住環境とは言えない住宅も多いのです。

 

そんな中、住宅が原因で体調を崩す人の医療費を削減するために、人々の住居環境を改善するという目的から、このような規定が設定された経緯があります。

 

投資運営している家主にとって、これらの負担はきつい面もありますが、今までの状態のままでは湿気による傷みはますます激しくなり、メンテナンス的にも負担がかかってしまいます。これを機会に物件を修繕することで、入居者に快適な環境をつくり、それが長期の賃貸へとつながれば、家主にとっても決して悪い状況とはならないでしょう。

 

日本では、一般家庭に冷暖房機が設置されているのはごく当たり前ですが、ニュージーランドは気候の関係で、夏は扇風機利用、冬は暖炉というのが主流でした。しかし近年では、温暖化現象とともに、人々の生活レベルの向上によって、冷暖房機の普及率が高くなってきました。新築・改装後の家では必ず冷暖房機を設置するようになり、日本のメーカーも大活躍しています。

 

②より高性能な火災探知機の複数設置
 

http://www.securitysearch.co.nz/alarm-systems/which-smoke-alarm-to-install/

https://www.cavius.co.nz/
(出所)
左写真:http://www.securitysearch.co.nz/alarm-systems/which-smoke-alarm-to-install/
右写真:https://www.cavius.co.nz/

 

今までは、一つ5NZドル程度の写真左の火災探知機を設置するのが一般的でしたが、今回の規則の変更によって、もっと高性能で電池も長期間もつ製品の設置が奨励されました。一つ20~40NZドルする製品もあります。これらを玄関、ベットルームから廊下、キッチンとリビングの3m置きに設置する必要があるため、3~5個は用意することになります。

 

③メステストの実施とテスト結果の提示

 

ニュージーランドでは合法の薬物があり、たばこを吸うように人前で吸う人も珍しくありません。また同時に、違法薬物も簡単に手に入れることができるため、若者をはじめとする多くの人が、たばこ同様に吸っているのです。その薬物が一定以上の数値になると、室内の壁や天井に充満し、他の人にも健康被害が出るため、「メステスト」が義務化されました。

 

その費用は約250NZドルほど。現場で検証する簡単な検査であり、残留する薬物の数値を表示する機材もあります。現在では、家の売買の際、家主自らこのメステストを行い、「薬物なし」という証明を提示する人も増えてきました。

 

賃貸運営においては、最初に家主がメステストを行い、入居者が入居開始する際にそのテスト結果を提示します。退去後、改めてテストを行い、万が一薬物反応の数値が高い場合は、入居者へ家の改装費用を請求し、課題を回避していくのです。そのため、管理会社は、入居者選びをさらに慎重にしなければならなくなりました。

 

欧米諸国における薬物の普及率は高く、何もしていない一般市民の健康被害が出るケースが増えています。そのような社会情勢を見て、ニュージーランドでも、同様のケースが広がらないよう規制されるようになりました。

 

福祉が比較的行き届いているニュージーランドでは、医療費の負担と税金確保は悩みの種です。医薬品開発、治療法強化も大切ですが、病気にならない環境作りが重要だと考え、人々の生活改善へと進みはじめているのです。

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Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長

1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。

1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。

現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表としても活躍中。

著者紹介

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