今回は、貸借対照表、損益計算書を使って「日本の財務状況」を探っていきましょう。※本連載は、ウエキ税理士法人の代表税理士で、中小企業の再生支援にも従事する中田隼人氏による著書、『コンサルティング機能強化のための個人事業主の決算書の見方・読み方〈2017年度版〉』(経済法令研究会)より一部を抜粋し、個人事業主の決算書の見方・読み方を、図表を交えてわかりやすく紹介します。

会社にたとえると「倒産秒読み状態」!?

今回は、国の決算書を見てみましょう。

 

[図表]国の決算書

 

平成15年度から、複式簿記を参考に国の財務書類が発表されています。まず、貸借対照表から見てみましょう。

 

財産より債務が多い債務超過の状態であり、債務は租税収入等の実に10倍強となっています。一般の会社でしたら、債務が年間の売上高(年商)に達していると倒産の秒読み状態にあるといえます。

 

一般的に、月商何ヵ月分の借入金を有しているかを見る指標である借入金対月商倍率は、3ヵ月以下で健全、6ヵ月以上で要注意、12ヵ月以上で危険とされています。

 

国の現状は、国民からの借金(公債)でまかなえていますが、このままでは少子高齢化による国力の低下で外国の資本に頼らざるをえない日が必ずやってくるでしょう。

損益計算書はさらに深刻な状況

次は、損益計算書ですが、貸借対照表より深刻な状況です。租税収入等(社会保険料収入を含む)121兆円に対して、費用がなんと143兆円もかかっています。

 

問題は、一過性の赤字ではなく、恒常的な赤字であることです。赤字は国民からの借金(公債)でまかないますので、借金は膨れあがる一方となります。

 

例えば、年収1,210万円の浪費癖がある会社員が年間1,430万円の生活費を使い、親戚一同から1億1,930万円の借金があるような状況です。そのうち、親戚の資力も底をつき、借金の返済を要求され始めます。その会社員は、仕方なく高利貸しからの借金に手をつけ始める・・・これが、今の日本の状況です。

コンサルティング機能強化のための個人事業主の決算書の見方・読み方〈2017年度版〉

コンサルティング機能強化のための個人事業主の決算書の見方・読み方〈2017年度版〉

中田 隼人

経済法令研究会

本書は、図解を多く用いることで、簿記の基礎や全体像が理解しやすい作りとなっています。さらに、個人事業主の決算書の見方・読み方を初学者でもわかるようコンパクトにまとめました。 2017年度版は「攻めの投資」を支援する…

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