前回に引き続き、「賃貸住宅の売却」をする際の、トラブルを回避する秘訣を見ていきましょう。今回は、都市部などの「狭小地」に強い解体業者の選び方を説明します。

周囲の建物と隣接する狭小地は、工事が難航しがち

不動産を高値で売却するため、建物や施設を解体して更地にすることはよくあります。前面道路が広く周囲の建物と離れている場合には特に難しい工事ではありませんが、都市部の狭小地では前面道路が狭く周囲の建物と隣接しているケースが少なくありません。そういった土地では大型の機械や車両が入らないため工事が難航します。

 

私が経験した中にはさらに困難な「長屋形式の建物を1戸分だけ解体する」というケースがありました。

 

解体業者に相談したところ、現場に足を運んだ業者の多くが「隣家と壁でつながっているため解体は不可能」と回答しました。主に地方で工事を受注している業者は狭小地での解体をあまり経験していないため、「壁を共有している家など壊せない」と考えるようです。

 

結局、都市部の物件を主要に扱っている解体業者の中に、少ないながらも「解体可能」と回答した業者がいたため依頼することとなりました。

 

問題のケースでは境界となる内壁を残し、その上を外壁で覆う工夫が有効でした。当初は隣家の住人が不安を示しましたが、しっかりとした外壁を作るという約束により、納得してもらったのです。

 

土地の境界が売主の側に食い込んでくることについては売主から了承を得ました。通常、土地の境界は壁の中心にあります。このケースでは壁をそのまま残したので、厚みの半分にあたる分だけ境界が売主側に食い込むこととなったのです。

 

地価が高い都市部では境界が3~4センチ後退するだけでそれなりに大きな金額になりますが、売却したい不動産を円滑に更地にできれば十分元がとれるので、売主にとってもメリットの大きい合意でした。

 

他にも、壁と壁の隙間が3~4センチ程度しかないという物件の解体を依頼したことがあります。このときは壁の隙間に入って作業ができないため、壁が隣家側に倒れないよう引っ張りながら内側から壊すことで安全に解体することができました。

狭小地での解体は、都市部の業者に頼むのが無難

地方の業者はあまりこういった解体の経験を持っていませんが、都市部で作業することが多い解体業者の中には狭小地での解体に慣れているケースが多く見られます。地域性に配慮した解体業者を選ぶことで、工事に適した業者を選択することができます。

 

解体業者にはさらに、鉄筋や鉄骨、木造など構造による得意、不得意もあります。そういった特性を確認することでもコストを抑えトラブルのリスクを軽減できるので、解体業者を探すときには意識しておくべきです。

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