前回に引き続き、廃業の告知を行う際、特に配慮をすべき点について見ていきます。今回は、リース会社との値切り交渉、行政との仮差押え交渉のポイントを説明します。

一括払いができれば、リース会社への値切り交渉も可能

前回の続きです。

 

●リース会社との値切り交渉

 

事業によっては使用する機材や用品のリースを受けているケースがあります。たとえば私が経営していたゴルフ練習場では打席周りの機器の大半をリースで賄っていました。

 

購入するのに比べて初期費用を低く抑えられるメリットがある一方で、リスケジュールできないという大きなデメリットがあります。事業の状況により返済が厳しい場合、金融機関は返済額や期間などの交渉に応じてくれますが、リース会社にはその義務がありません。

 

そのため、経営者は毎月の売上が予定を大幅に下回る状況でも、決められた賃料を支払い続ける必要があるのです。

 

ただ、最終的に売却が決まり一括支払いが可能となった時点では、リース会社も交渉に応じてくれます。完済が確定していれば交渉の余地が出てくるので、最終的な決済の金額を値切ることは可能です。

行政ときちんと交渉し、仮差押えなどを予防

●行政との仮差押え交渉

 

経営が行き詰まってくると、固定資産税の支払いがどうしても遅れがちになります。そのため、取引先ではないものの行政との交渉も重要です。金融機関への返済や取引先への支払いなど、大きな支出が他にも多数ある中、固定資産税は督促が比較的厳しくないため、後回しになってしまいます。

 

ところが日参して督促するようなことがない代わりに、行政は迅速に仮差押えの手続きを打ってきます。最近では1期分の支払いが遅れただけで事業用地が仮差押えされるケースも珍しくありません。

 

実際は仮差押えの手続きに入る前には固定資産税の督促が何度か行われます。ところが滞納している人の中にはこれを無視したり、「やれるものならやってみろ」という姿勢を示したりする人が多いのです。

 

「支払う意思がない」と確認した行政は次の手段として仮差押えに入ります。先に説明した通り、仮差押えを打たれると不動産を売却できなくなる上、他の債権者がいっせいに債権の保全に走るため、事業が立行かない中で不動産を失うことになりかねません。

 

行政との交渉は比較的簡単で、返済計画を示すことさえできれば仮差押えは解除されます。100万円の固定資産税を3期分溜めて300万円の滞納があるなら「50万円ずつ返すようにする」など、リスケジュールを提案すればほとんどの行政側は納得するため、こうした交渉術を押さえて仮差押えなどのトラブルは未然に防ぐべきです。

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    本連載は、2016年8月16日刊行の書籍『経営者のための事業用不動産「超高値」売却術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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