既存の経営企業を活用して相続税対策を行う方法

前回は、ハワイ不動産のリマーケティングが充実している理由などを説明しました。今回は、不動産オーナーかつ経営者だからこそできる、法人を活用した節税方法などについて見ていきます。

もともと企業を経営していれば様々な対応が可能

資産家には、中小企業を経営している方も多くいます。何らかの事業を行う事業会社であるケースもあれば、所有不動産を管理するためだけの会社を経営しているケースもあるでしょう。

 

不動産管理会社を設立する例も最近では相続税対策として喧伝されていますが、あえて管理会社を作らなくても、法人に買わせたり、法人の所有する不動産を個人に買わせたりすることができます。それによって節税対策にもなります。

 

たとえば、法人に買わせて法人税を節税し、赤字段階で法人が売却すれば、譲渡所得税がかからないということにもなります。この手法は完全な個人会社ではできませんが、1%でも他人資本が入っている会社であれば実現可能です。

 

ただし、その場合、税務署の信頼を得るために恣意的な価格での売買はおすすめできません。あくまでも第三者である不動産鑑定士の鑑定書等を作成して行ってください。

 

もちろん、逆に地価が高い時期に法人が購入した不動産を、地価が下がったときに個人に時価で売却して会社が赤字になれば、その赤字は繰り越すことができますし、購入した個人が少しでも価格が上昇したときに売却すれば利益になります。売却相手の個人は代表者とその親族ということになるでしょうが、個人への売却のときに売却額をその個人への給与として支払えば、贈与税がかからず、個人にしっかりとお金を渡すことができます。

 

企業を経営している資産家の場合は相続税の増税に大騒ぎをしなくても、従来の手法をアレンジすることによって不動産を有効活用すれば、様々な対応が可能なのです。

大手不動産仲介業者は「情報の入手先」として活用する

不動産業者との付き合いは、不動産を所有した場合には避けて通れない重要なものです。それだけに、資産家はどういう不動産業者と、どのように付き合うかをしっかり押さえておく必要があります。

 

その点に関しては、購入する場合の付き合い方、売却する場合の付き合い方、物件を賃貸に回す場合の付き合い方などがあります。これを不動産業の業務区分のように、売買と賃貸と管理とに分けてもよいでしょう。

 

売買の仲介を行ってもらう場合、大手業者は「情報の入手先として活用する」と考えるのが正しい付き合い方です。不動産に関する情報をたくさん持っている点は何といっても大きな利点です。

 

一方で注意点は、売買の仲介だけをメインにする大手業者は、管理や賃貸業務をやらないということです。

 

資産家が相談したい内容は、多くが賃貸業務に関することです。アパート経営に進出するのはどうか、自分の土地ではうまく利回りを実現できるか、借り入れはどのくらいまでできそうか、その借り入れをしても将来返済が可能かといったことを相談したいはずです。すると、資産家が相談したいことと、大手業者がメインとする事業が合致しないこともあります。

 

売買は結局のところ、大手の不動産業者から様々な情報や事例を集め、2〜3社に聞き取り調査をして、そのなかで誠意のある業者、納得いく説明を文書でやってくれる業者、中身の濃いレポートをくれた業者に頼むのがいいでしょう。

 

また、売買で気をつけたいのは仲介手数料です。通常は物件価格の3%ということになっていますが、金額が大きいだけに負担が重くなるので、業者の手間があまりかからなかったと判断したときは安くしてもらう交渉をすべきです。

 

法的には、業法で一定の土地面積以上は物件価格+6万円×3%の金額に消費税をつける、と定められていますが、この法規は仲介手数料の上限を示しているに過ぎません。手数料の金額次第では、交渉によって半分程度まで安くしてくれる業者もあります。

 

また、売買では、不動産業者が売り手と買い手の双方から手数料を受け取る両手取引という仕組みもあります。

 

物件を専任で扱うことは不動産業者、売り手・買い手双方にメリットがあることかもしれませんが、業者としては両手取引で得られる手数料に魅力があるのも事実です。それによる手数料をもったいないと考えるのであれば、売る場合は専任にせず、買う場合は専任物件を買わないということくらいしか方法がありません。

 

私としては専任契約にせず、売る場合も買う場合も、むしろ2〜3社に仲介を依頼して競争させるのがいいと考えています。

 

また、資産の売却のときの情報の開示の仕方ですが、相談に行くと業者は手数料欲しさに、すぐ、いろいろなところに売り出してしまうようなケースもあります。「売り希望です」「売り気配がある」といった情報を、物件が大きい金額であると関連する業者や市場に勝手に情報を流してしまうのです。したがって、信用のできそうな業者が正式に決まるまでは注意をして付き合ってください。

 

慎重な対応をしないと売りの情報が不本意に市場で知れ渡り、本当に検討したい人が興味を持たなくなる恐れがあるからです。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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東京アーバンコンサルティング株式会社 代表取締役社長

1967年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、三菱信託銀行入社。本店不動産部配属となり、不動産仲介・鑑定・開発・各種コンサルティング業務に従事する。その後、米国ロサンゼルス支店融資課長、次長、本店国際不動産コンサルティング業務担当部長等を歴任し、1991年に米国三菱信託銀行(ニューヨーク)会長兼社長に就任。
95年、英国系国際不動産コンサルティング会社である日本ナイトフランク株式会社代表取締役社長に就任。97年に東京アーバンコンサルテング株式会社を設立、現在に至る。
不動産鑑定士。不動産カウンセラー(日本不動産鑑定協会)。不動産コンサルティング技能資格(国交省所管)。宅地建物取引主任者(国交省所管)。不動産専門調停委員(東京簡易裁判所)。

著者紹介

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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