前回は、欧米の富裕層のポートフォリオにはどんな特徴があるのかを説明しました。今回は、日本人投資家に求められる「ドルベース」という視点について見ていきます。

「アセットアロケーション」の発想はもう古い!?

日本人の富裕層にとっては、以前から金融業界で一般的に使われている国内株式と海外株式、国内債券と外国債券の4つの資産クラスを組み合わせるアロケーションがなじみ深いのですが、最近の伝統的プライベートバンクは、4つの資産クラスへのアセットアロケーションの発想にあまりこだわりません。

 

リーマン・ショックの前までは、株と債券は逆相関の関係と言われていました。株が上がれば債券は下がり、債券が下がれば株が上がるという関係です。しかし、いまやもう逆相関は見られなくなりました。経済のグローバル化で、あらゆるアセットの連動性、相関関係が強まり、アセットアロケーションの発想ではリスク分散にならないからです。

海外の運用で得られたリターンを海外に「再投資」

さらに、日本人の資産家の場合、その前に考えなければいけないポイントがあります。

 

一つは為替の問題です。日本人の基準通貨は多くの場合「円」です。また基本的に「円」で資産を持っています。その一部を海外の資産に投資し、得られたリターンを日本に戻す場合、当然そのときの為替市場の影響を受けます。

 

円高のときに投資し、円安のときにリターンを戻せば、運用利回りに為替差益がプラスされますが、逆のときには、運用利回りから為替差損が差し引かれ、マイナスになることもあり得ます。運用している途中でも、自分のポートフォリオの状況を円換算で見て、「プラスが出ている」「マイナスになっている」と一喜一憂することになりかねません。

 

伝統的プライベートバンクに資産を移す場合、基本的に「ドル」ベースで考えるべきだと思っています。円換算して一喜一憂するのは無意味です。

 

そもそも、これから20年、30年の期間で見れば、円安の方向に進む可能性が高いでしょう。円高のいまは、日本から海外の資産に投資するチャンスと考えていいでしょう。そして、海外で運用して得られたリターンはまた、海外で再投資するのです。将来、そうやって増えた海外資産を使って、日本と海外を行ったり来たりするのもよいでしょう。

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