建築会社による「相場を無視した家賃設定」が横行する理由

今回は、建築会社による「相場を無視した家賃設定」が横行する理由などを見ていきます。※本連載では、藤和コーポレーション株式会社代表取締役 牛島浩二氏の著書『知っていなければ助からない不動産投資の落とし穴』(現代書林)から一部を抜粋し、ハウスメーカーや建築会社が提案してくる「家賃設定」のカラクリについて解説します。

「当社はブランド企業ですよ」

ターミナル駅から数駅離れた駅の近くの家賃相場が、七万六〇〇〇円だとします。その駅から徒歩一五分にある土地のオーナーに、ハウスメーカーや建築会社が営業をかけて提示する家賃が仮に八万二〇〇〇円だとすると、明らかにおかしいわけです。

 

業者が正しい相場をまったく無視して家賃を提示していることに、土地オーナーは冷静になって気づくべきなのです。

 

ただし、気づいたとしても、次のようなやり取りで、オーナーは営業マンに押し切られてしまうことでしょう。

 

オーナー「これ、相場よりも一万円ぐらい高いと思うんだけど」

営業マン「ええ、でも当社はブランド企業ですよ。建物が違いますから。そこら辺の相場と一緒にしないでください。自信ありますから、建物には」

オーナー「あっ、そうだよね。やっぱりブランド企業は違うからね」

 

一活借り上げという謳い文句で営業をしているので、「高いのではないか」と言われた場合、ちょっと機転の利く営業マンであれば、

 

「まあ、いいんじゃないですか。当社がどうせ払いますから」

 

というように言い返すことができます。

 

要は、「あなたは損しません」「家賃が高かろうが安かろうが、あなたの手取りは変わりません」というイメージづけをしてくるのです。

「契約を打ち切って、やめられても結構ですよ」

そうして数年後、家賃を下げられたオーナーが契約を取った営業担当者に連絡を取ります。いや、連絡が取れること自体、稀なのですが・・・。

 

オーナー「あんた散々、高い家賃で大丈夫だと言ったじゃないか」

営業「すみません。私は当時、賃貸管理部から出てきた数字をもとに営業しただけですので。私にはわかりません。そういうことは、当社のお客様窓口にかけ直してください」

 

営業担当者が、「わからない」「どうにもならない」と繰り返すので、オーナーは仕方なくお客様窓口に電話をかけ直します。

 

窓口「すみません。賃料は変動しますよね。そうですか、そうですか」

 

そう繰り返すだけで、具体的な動きをとろうとしません。

 

それでも、オーナーが執拗に粘るようであれば、次のような最後のひと言を発します。窓口「では、契約を打ち切って、やめられても結構ですよ。どうされますか?」

 

前述したように、それでやめてしまうとローンを返済できなくなるので、手取り金額が低くなってもいいから、オーナーとしてはそのまま借り上げを継続してもらわざるを得ないのです。

 

ですから、やめるところまで一歩踏み込めないで、がんじがらめになるのです。

 

しかし、結果的にローンの返済が不可能なところまで追いつめられると、銀行は法的手続きに従って、担保に取った土地から何から持っていってしまいます。

 

こうして、オーナーが抱いていた当初の思いはどこかに吹っ飛んでしまい、代々守ってきた土地が取られてしまうという恐ろしい結末へと向かうのです。

本連載は、2017年6月15日刊行の書籍『知っていなければ助からない不動産投資の落とし穴』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「国内不動産」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載本当は怖い不動産投資~「バラ色の家賃収入」のワナ

藤和コーポレーション株式会社 代表取締役

「新築大家さん」を展開する藤和コーポレーション株式会社代表取締役。福岡県生まれ神奈川県育ち。会計コンサルタントを経て、建築業界、不動産業界の裏側を知り、製造業のトヨタ生産方式や成果主義給与、ISO取得などの知識を得る。安価な土地仕入交渉を得意とし、新築物件企画から融資、税務、賃貸管理までの一切を、経営視点を踏まえてコーディネートする。これまで手がけてきた新築物件企画は、入居率95%以上という高い人気を誇る。多くの土地オーナーからの信頼も厚く、不動産投資に関するセミナーも定期的に行っている。共著書に『不動産投資は儲からない』(ジュリアン)がある。


藤和コーポレーション株式会社
http://oyasan.jp

著者紹介

知っていなければ助からない 不動産投資の落とし穴

知っていなければ助からない 不動産投資の落とし穴

牛島 浩二

現代書林

土地を所有していて、自分の土地に建物を建てようかどうかと、いろいろ思案している最中の人はハウスメーカーや借り上げ業者などから、しきりに土地の有効活用として「建てませんか?」と強く勧められたり、契約を急がされたり…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧