不動産オーナーを追い込む「30年一括借上げ」のカラクリ

今回は、不動産オーナーを追い込む「30年一括借上げ」のカラクリについて見ていきます。※本連載では、藤和コーポレーション株式会社代表取締役 牛島浩二氏の著書『知っていなければ助からない不動産投資の落とし穴』(現代書林)から一部を抜粋し、ハウスメーカーや建築会社が提案してくる「家賃設定」のカラクリについて解説します。

「○○円だけ値下げをお願いします」

契約寸前のオーナーは、契約書にちゃんと入れられている二年に一度の家賃見直しの一文をよく読もうともしないものです。

 

頭の中は「手取り金額いくら」「三〇年の家賃保証」のフレーズで占領され、確認もしないで気分が昂揚したまま契約書にサインしてしまいがちです。

 

ただ、家賃は生き物と一緒で、時代の変化に応じて調整が必要になりますから、二年ごとの家賃見直しというのは、業界では当たり前に行われていることです。

 

問題なのは、それを意図的に利益追求主義だけで推し進める営業手法と、オーナーを巧妙に言いくるめるための営業テクニックとして使われることです。

 

実は建築会社には、家賃を調整する部署、端的に言うなら家賃を下げることだけを考える係がいます。彼らは見直しの二年を迎える前に、全オーナーを回り、頭を下げて交渉します。

 

「すみません。そんな事情なので、このままの家賃では厳しく、○○円だけ値下げをお願いします」

 

「このまま借り上げを続けていると、当社は潰れてしまいます。下げてくれないと、この手取り額も保証できなくなってしまいます」

 

「手取り額がゼロになるのか、○万円になるのか、どちらがいいですか?」

訴訟に持ち込んでも業者が勝訴する!?

一気に半分以下に値下げということは、普通に行われています。それで浮かしたものが歩合として、営業マンに入るような仕組みにもなっているのです。

 

必死なのは、追い込まれるオーナーです。

 

オーナー「いや、これ下げられたら、ローンを払えないよ」

 

営業マン「じゃあ、いいですね。半分で」

 

オーナー「いや、それだと困る。何とかトントンまでは持っていってくれないか」

 

営業マン「わかりました。じゃあ、○万円でトントンなので、それでいいですね」

 

営業マンには、「元の家賃と値下げした家賃の差額×部屋数×一二ヵ月×何%」の歩合が支給されます。

 

このような仁義なき交渉を二年ごとに繰り返されたら、オーナーはたまったものではありません。家賃がどんどん下げられていって、実際にローンの返済さえ不可能になったら、オーナーはどうなるでしょうか。

 

業者を信じ込んでいたオーナーが怒り心頭に発し、仮に訴訟に持ち込んでも、

 

「建てる前であり、そのときの家賃はそういう想定で、入居者も集まると思って計画しました。オーナー様も同意されました」

 

という業者の言い分が通り、業者が勝訴することになっているのです。契約書にもちゃんと書いてあり、残念ながら対抗手段はありません。

 

とはいえ、このような業者の疑わしい営業姿勢や交渉テクニックは、ビジネス上の倫理としてどうなのか? 儲け主義の業者に落ち度はないのか?不透明なカラクリはオープンにされるべきだと、私は思うのです。

 

そしてやっとここにきて、借上げ契約書の重要事項説明義務が設けられました。

 

[図表] 家賃と建設費の手取りの関係

本連載は、2017年6月15日刊行の書籍『知っていなければ助からない不動産投資の落とし穴』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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藤和コーポレーション株式会社 代表取締役

「新築大家さん」を展開する藤和コーポレーション株式会社代表取締役。福岡県生まれ神奈川県育ち。会計コンサルタントを経て、建築業界、不動産業界の裏側を知り、製造業のトヨタ生産方式や成果主義給与、ISO取得などの知識を得る。安価な土地仕入交渉を得意とし、新築物件企画から融資、税務、賃貸管理までの一切を、経営視点を踏まえてコーディネートする。これまで手がけてきた新築物件企画は、入居率95%以上という高い人気を誇る。多くの土地オーナーからの信頼も厚く、不動産投資に関するセミナーも定期的に行っている。共著書に『不動産投資は儲からない』(ジュリアン)がある。


藤和コーポレーション株式会社
http://oyasan.jp

著者紹介

知っていなければ助からない 不動産投資の落とし穴

知っていなければ助からない 不動産投資の落とし穴

牛島 浩二

現代書林

土地を所有していて、自分の土地に建物を建てようかどうかと、いろいろ思案している最中の人はハウスメーカーや借り上げ業者などから、しきりに土地の有効活用として「建てませんか?」と強く勧められたり、契約を急がされたり…

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