ハウスメーカーの提示する「手取り収入」に警戒すべき理由

今回は、建築会社の提示する「手取り収入」に警戒すべき理由を見ていきます。※本連載では、藤和コーポレーション株式会社代表取締役 牛島浩二氏の著書『知っていなければ助からない不動産投資の落とし穴』(現代書林)から一部を抜粋し、ハウスメーカーや建築会社が提案してくる「家賃設定」のカラクリについて解説します。

「当社で建てると、よそよりも高い収入が得られますよ」

ここからは、ハウスメーカーや建築会社が共同住宅を建てる前に、土地オーナーに提示する家賃のカラクリについて述べていきます。家賃というのは、いうまでもなくオーナーにとっての収入です。

 

[図表] A、B、C、D 四社の比較表

 

わかりやすいように、A、B、C、Dの四社を比較して例示しましょう(上記表参照)。

 

四社が提示する一部屋の家賃は、いちばん低い業者といちばん高い業者で、二万円は簡単に差がつきます。つまり、二〇部屋の計画であれば、月の収入が四〇万円、年間にすれば四八〇万円も違ってくるということです。

 

業者は、契約を取るために家賃を少しでも高く設定し、「当社で建てると、よそよりも高い収入が得られますよ」と謳います。

 

では、建築費のほうはどうでしょうか?

 

A社一億円、B社一億一〇〇〇万円、C社一億五〇〇〇万円、D社八〇〇〇万円だとします。これはオーナーが銀行から融資してもらい、毎月ローン返済しなければならない金額です。

 

この数字だけ見れば、オーナーは建築費がいちばん安いD社を選ぶのではないでしょうか。しかし実際は、建築費がこれだけ違っていても、月の返済額は一〇〇万円当たり三〇〇〇円ぐらいしか変わりません。例えば、一億円と一億五〇〇〇万円では、月の返済額の差は一五万円程度です。

業者は「手取り収入」が多くなるように見せかける!?

そこで、業者が持ち出してくるのが「家賃収入とローン返済の差額」。営業担当者が勝負するのは、「当社案では、お客様に毎月これだけの手取り収入がありますよ」と言うときの、「これだけ」の数字なのです。

 

つまり、ローンの返済額の差は、前述の通り建築費が高くても月額一五万円程度です。ということは、家賃収入がそれを上回っていれば、建築費が高くても問題ないということ。そうです。家賃を二万円高くすれば四〇万円収入が増えるのですから、一五万円の余分な出費など吸収してしまう――そう考えてしまいますよね。

 

要は、オーナーが何を基準にして建築業者を決めるかというと、建築費ではなく家賃なのです。家賃収入からローン返済などの経費を差し引いた手取り収入が、多いほどいいに決まっています。

 

だから、業者は手取り収入が多くなるように見せかけるのです。

 

しかも、「三〇年一括借り上げ」してくれるというのがハウスメーカーなどの謳い文句です。であれば、三〇年間、この手取り収入が保証されたと思い込むのではないでしょうか。

 

営業担当者は、次のようにオーナーを口説きにかかります。

 

「当社の計画に乗ってくれましたら、毎月これだけの収入があります」

「やらない手はないでしょう」

「だって、三〇年一括借り上げなんですから」

 

これでは、高額な建築費のことなど頭から飛んでしまいますし、家賃が適正なのかどうなのかという検討も忘れてしまいます。

 

このような営業手法は、本当に正しいものなのでしょうか?

 

その手口をもう少し検証していくことにしましょう。

本連載は、2017年6月15日刊行の書籍『知っていなければ助からない不動産投資の落とし穴』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

藤和コーポレーション株式会社 代表取締役

「新築大家さん」を展開する藤和コーポレーション株式会社代表取締役。福岡県生まれ神奈川県育ち。会計コンサルタントを経て、建築業界、不動産業界の裏側を知り、製造業のトヨタ生産方式や成果主義給与、ISO取得などの知識を得る。安価な土地仕入交渉を得意とし、新築物件企画から融資、税務、賃貸管理までの一切を、経営視点を踏まえてコーディネートする。これまで手がけてきた新築物件企画は、入居率95%以上という高い人気を誇る。多くの土地オーナーからの信頼も厚く、不動産投資に関するセミナーも定期的に行っている。共著書に『不動産投資は儲からない』(ジュリアン)がある。


藤和コーポレーション株式会社
http://oyasan.jp

著者紹介

連載本当は怖い不動産投資~「バラ色の家賃収入」のワナ

知っていなければ助からない 不動産投資の落とし穴

知っていなければ助からない 不動産投資の落とし穴

牛島 浩二

現代書林

土地を所有していて、自分の土地に建物を建てようかどうかと、いろいろ思案している最中の人はハウスメーカーや借り上げ業者などから、しきりに土地の有効活用として「建てませんか?」と強く勧められたり、契約を急がされたり…

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