役員室の絵画を買うなら「号当たり2万円」まで

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役員室の絵画を買うなら「号当たり2万円」まで

「書画骨董」に分類される美術品は、価値が減らないと考えられ、減価償却の対象から外れます。今回は、節税目的に絵画を購入する際の注意点について見ていきます。

減価償却扱いになる絵画、ならない絵画

ネットオークションで美術品を収集するのが何よりも好きな、通信関連会社のM社長。経理部長から、また問い詰められているようです。 
 
「社長、またネットオークションで絵を買ったんじゃないでしょうね」
「応接室に飾るから。それなら会社の備品として経費で落ちるでしょう。美術年鑑で調べて買ったから、しっかりしたものだよ」
「美術年鑑?それじゃあ書画骨董扱いで減価償却できませんよ」

 
節税目的で絵画を購入する、という人もいます。「業績がよかったので、節税用に応接室の絵画を購入した」という話はよく聞きます。 応接室の絵画などは、会社の備品で固定資産ですから、10万円以上なら通常どおり減価償却の対象になります。

書画骨董は償却の対象外

ただ、この絵画がいわゆる「書画骨董」に分類されるものだった場合は、償却できないので注意が必要です。古美術品などとして価値が認められているものは、年月が経ってもその価値が減らないと考えられるからです。 
 
書画骨董の定義については、「法人税基本通達7-1-1」によって美術年鑑に記載されている作家の制作した書画、あるいは取得価額が号2万円を超えるような書画は、「書画骨董」に該当するとされています。いずれにしても、号2万円以上、あるいは美術年鑑に記載されている作家の絵画は「書画骨董」と判断されて減価償却できないことを覚悟したほうがよさそうです。書画骨董扱いにならないものであれば何年かで償却してしまえばいいだけのことです。 
 
「号」というのは絵画の大きさを示す単位で、1号といえばハガキサイズ程度、6号ならA3程度、100号になると畳1枚半ぐらいです。1号当たりの単価は、作家によって相場が異なり、美術年鑑で調べることができます。 
 
ちなみに、二科展初入選クラスの新人で号当たり5000円ぐらい。有名な画家になると、号当たり1000万円クラスもめずらしくありませんが、号当たり2万円未満というと、かなりの若手でまだ無名な作家といえます。 
 
将来有名になってその絵が高くなるかどうかは未知数、という画家のものになりますが、それでも気に入った絵画を社内に掛けておくのは楽しいものです。減価償却できる範囲で、こうした絵画を選ぶのは、気持ちの上でも、節税の上でも、おすすめしたいと思います。

 

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    本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『スゴい「節税」』から抜粋したものです。その後の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

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