警察沙汰も? 頻発する「民泊トラブル」の実態

前回は、健全な民泊運営を実現するために、今後どんなルールが必要になるのかを説明しました。今回は、頻発する「民泊トラブル」について探ります。

窃盗・不法侵入…近隣住民を悩ませるトラブルが多発

「深夜のドア開閉や共用部分での雑談など、昼夜を問わず騒音が絶えない」

「ゴミを分別せず退室日に出す」

「どこでも喫煙する」

「見知らぬ外国人が、短期(数日以内)に出入りし、常に不安である」

 

これらは、2016年1月に新宿区保健所が公表した「民泊疑義・旅館業法違反の苦情」に関する調査結果において、つまりは民泊に対する新宿区民の苦情をまとめたデータの中で紹介されているトラブル例の一部です。

 

さらに〝警察沙汰〟にまでなった、より深刻なトラブルのケースも以下のように取り上げられています。

 

「真夜中に、外国人宿泊客に傘を盗まれたり、植木鉢を割られるなどの被害を受けた」

 

「外国人宿泊者が自宅敷地に入り、物干しに多くの洗濯物を干してしまうので警察に通報した」

 

「ナイフを持った外国人宿泊者が自宅敷地に入り、木を切っていたため警察に通報した」

 

「ハロウィンの日に日本人約30人が、夜中に大音量の音楽を流すなど騒ぐため、警察に通報し注意してもらった」

 

旅行客の人気を集め、世間やマスコミの大きな注目を浴びている民泊ですが、その陰ではこのように「騒音」や「ゴミ出し・喫煙等に関するルール違反」、さらには窃盗・不法侵入など近隣住民らを悩ませるトラブルが頻繁に起こっているのです。

トラブルのほとんどは「ヤミ民泊」が原因!?

トラブルが起きているのは違法な〝ヤミ民泊〟〝民泊トラブル〟の実情についてより詳しく見ていくと、現在、民泊目的で使われている施設は一戸建てよりもマンションの方が圧倒的に多い状況です。そのため、民泊をめぐるトラブルも、一戸建てに比べ、マンションなどの共同住宅でより多く発生している傾向が認められます。

 

先の新宿区の調査でも、苦情が多く寄せられた施設は、共同住宅が全体の73.5%を占め、以下一戸建て(14.3%)、不明・匿名(12.2%)と続いています。

 

ことに最近は、豪華なタワーマンションなどに設置されているゲストルームが、無断で民泊に使われているケースが増えており、大きな問題となっています。本来、ゲストルームはマンション住人の親戚や知人などを宿泊させるための施設のはずです。

 

にもかかわらず、いつの間にか民泊仲介サイトに登録され、連日のように見ず知らずの外国人が泊まっており、マンション住人は一向に利用することができない――そんな迷惑千万というほかない状況が生まれているのです。

 

[図表]旅館業の相談・苦情対応状況

「営業相談」… 営業予定者からの許可の要否や審査基準、図面相談に関する問合せ対応
「苦情受付」… 利用者からの旅館の衛生措置に関する苦情や、
       周辺住民・事業者等からの「許可の有無」に関する苦情申立・受付
出所:新宿区保健所衛生課
「営業相談」… 営業予定者からの許可の要否や審査基準、図面相談に関する問合せ対応。
「苦情受付」… 利用者からの旅館の衛生措置に関する苦情や、 周辺住民・事業者等からの「許可の有無」に関する苦情申立・受付。
出所:新宿区保健所衛生課

 

このように、民泊をめぐっては、地域住民やマンション住人らが〝被害者〟となるトラブルが頻発している現実を、民泊をこれから始めようとしている人たちは十分に認識しておくことが必要でしょう。

 

ただ注意を促しておくと、今現在運営されている民泊のほとんどは、旅館業の営業許可を得ていない〝ヤミ民泊〟になります。つまり、民泊に関して語られているトラブルのほとんどは、〝ヤミ民泊〟が原因となって引き起こされていることなのです。

 

したがって、「民泊=トラブルが多い」という図式をイメージするのは必ずしも適切とはいえません。トラブルが多いのは、あくまでも〝ヤミ民泊〟であるという点を見誤ってはならないでしょう。

 

許可を得て行われている民泊が少ない現状では仕方がないことなのでしょうが、世間一般では、〝ヤミ民泊〟と合法的な民泊が区別されず、一緒くたに語られる傾向があります。

 

「民泊には様々な問題やリスクがある」といわれる場合も、そこで取り上げられている問題やリスクは、合法的な民泊には全くか、もしくはほとんど当てはまらないことが少なくありません。

 

他方で、〝ヤミ民泊〟に関しては、数多くの懸念すべきリスクが存在することは否定できません。一体、どのようなリスクや問題があるのか――その中身について詳しく見ていきましょう。

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

とまれる株式会社 代表取締役

京都大学在学中、株式会社ガイアックスを起業。上場に伴い退社したのち、楽天株式会社に入社、プロデューサーとしてMyRakuten等を担当。2013年より株式会社百戦錬磨に参画、取締役に就任。IT業界に精通している立場から観光業に携わったことで〝違法民泊〞の横行に強い問題意識を持つようになる。2013年にとまれる株式会社を設立、代表取締役社長に就任。国が進める国家戦略特区構想のアイデア公募に、空室物件と宿泊者をマッチングし、観光立国化と不動産価値の向上も実現できる民泊の仕組みをいち早く提案した。2013年末に提言が採用され特区法13条が成立、2014年4月からは他社に先駆けて特区民泊事業をスタートさせた。現在は「STAY JAPAN」を運営し、民泊オーナーと旅行客のマッチングを推進している。

著者紹介

連載トラブル回避!オーナーが知っておくべき「民泊新法」

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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