前回は、建設会社の業績がコミュニケーション不足で悪化する理由を取り上げました。今回は、赤字会社の経営改善で求められる「シンプル」な考え方を見ていきます。

具体的な裏付けやビジョンがない経営計画は無意味

〈課題5〉余計なことに時間と手間を掛けすぎる

 

業績が良くない会社も、手をこまねいているわけではない。何とか手を打とうとするのだが、それが的外れであったり泥縄であるため、むしろ余計なことに時間や手間をかけているケースが多い。

 

例えば、「経営計画」がそうだ。普通の建設会社は「経営計画」など作らないが、作っている会社があるとすれば、よほど意識が高い会社か、金融機関向けにとりあえず作っている会社であろう。経営者は金融機関に提出するためページ数ばかり多く、中身の薄い言葉が並んだ「経営計画」を策定する。また、一般的なコンサルタントが作る「経営計画」も、都道府県の機関が作る「経営計画」も基本的には同様である。どれも皆、実践するための真の「経営計画」になっていない。

 

重要なのは、経営者の方針が明確に示され、それが社員に分かりやすく表現されていることであるはずだ。見かけが立派でも何を言いたいのかよく分からない「経営計画」には、どこか逃げやウソがある。

 

金融機関から向こう3年分程の収支計画を要求されたときも同じだ。よくあるのは「次年度の売上と利益は今年の5%アップ、翌年も5%アップ」といった無意味な数値目標だ。

 

なぜ5%アップなのか、そのためにどんな手を打つのか、5%アップしたらどうなるのか、そうした具体的な裏付けやビジョンがなければ、何の説得力もない。

問題の真因を追求し、社員の理解と協力を得る

経営改善の取り組みにあたっては、シンプルに考えることが非常に重要である。ポイントを押さえて、余計なことはしない。長時間の会議や分厚い資料などは時間とコストの無駄である(図表)。

 

[図表]経営改善にあたって不要なもの

 

経営コンサルタントがよく使う、SWOT分析、4C分析など難しい経営戦略やマーケティングのフレームなどもいっさい要らない。

 

私の場合、自治体や金融機関が用意している事業再生用のフォーマットも、実際の経営改善では使わないことが多いし、それで今まで困ったこともない。全てのポイントは、いかに問題の真因を突き止め、社員の理解と協力を得るか、にある。

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中西 宏一

幻冬舎メディアコンサルティング

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