前回に引き続き、競合物件と差をつけるためのリフォーム方法を紹介していきます。今回は、オフィスビルを「より明るく広がりのある空間」にするためのポイントなどを見ていきます。

空間全体の「縦のライン」を強調し、細部にもこだわる

外観、エントランスをビルの顔とすれば、基準階のエレベーターホールは入居する企業(テナント)の顔となるスペース。当然、ここも明るく、勢いを感じさせる空間であるべきです。

 

そこでリフォームでは圧迫感を与えていたオフィス入口の壁を撤去、すりガラスにすることで、室内からの明かりがエレベーターホールにも及ぶような形にしました。もちろん、エレベーターホール自体の照明も明るく変更していますが、そこにプラスアルファの明かりが壁を通して得られ、いっそう明るくなるというわけです。

 

[図表1]基準階エレベーターホールのリフォーム

 

ドアは左右に2枚。こうしておけば、テナントが親会社と子会社で間を仕切って使う、貸す時点で2社に分けて貸すなど、使い方、貸し方に幅が出るからです。ここにはビル全体の警備保障システムとは別に入室時に利用するセキュリティを追加しています。予算の関係でカード式のシステムを採用していますが、これは生体認証、特に静脈認証に比べると普及しているだけにお手頃です。ただ、可能であれば、物件のアピールポイントにもなるため、最先端システムを導入すべきでしょう。

 

また、細かいことですが、エレベーターの操作ボタン周辺のデザインも変更しています。もともとは壁に操作ボタンだけがぽつんとある形になっていましたが、これをエレベーターの扉、オフィスの入口扉と合わせ、床から天井までのスチールのカバーのなかに入れ込んだのです。

 

こうすることで、空間全体に縦のラインが強調されることとなり、広さを感じるようになります。人間の目はこうした細部もちゃんと見ているものですから、細部にこだわることは大事です。

 

トイレ・給湯室についてはそもそもの配置を変更、エレベーターホールにいる来訪者からトイレのドアが見えないような形にしました。壁際にドアが複数あるとうるさく見えますし、トイレへの出入りがホールから見られてしまうのは何となく嫌なもの。しかし、この形であれば、見えにくく、スマートな印象を与えます。もちろん、設備も新調、鏡とガラススクリーンを使うことで実際の広さ以上に広がりを感じる空間になっています。

 

[図表2]トイレ・給湯室のリフォーム

リフォームの目的はあくまでも「ビルの収益向上」

ところで、通常、他社にリフォームを依頼すると、費用には工事原価に利益(一般的には30%程度)がプラスされるものですが、当社では工事原価のみで請け負っています。それは、当社のリフォームはそこで利益を上げることが目的ではなく、ビルの収益を向上させることが目的だからです。

 

つまり、リフォームは作業過程に過ぎず、リフォームしただけでは目的を達成したことにはなりません。それなのに、そこで儲けを追求するのはおかしな話。当社ではそう考えています。

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    本連載は、2010年12月21日刊行の書籍『空室を抱える中小オフィスビルオーナーのための満室ビル経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    佐々木 泰樹

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