競合物件に勝って満室を実現する「攻めのリフォーム」とは?

オフィスの綺麗さ、明るさはビジネスを成功させるための重要な鍵です。では、どのようなリフォームをすれば競合物件と差を付けることができるのでしょうか? 実例を交えて見ていきます。

新築でもリフォームが必要なビルがある!?

リフォームという言葉からは古い物件に手を入れることをイメージされる方も多いと思いますが、リフォームは古くなったから行うというだけのものではありません。

 

当社の場合、実際に新築ビルで空室解消を相談されたオーナーにリフォームを提案した例も少なからずあり、そのリフォームによっていずれのビルも満室を実現しています。これは、リフォームとは古さをカバーするために仕方なくやるものではなく、価値を付加するもの、マイナスをプラスに転じるものと考えているためです。

 

たとえば、競合するビルの平均点が75点だとしましょう。そこで自ビルが65点だったとした場合、筆者は75点になるリフォームではなく、80点以上になるリフォームを考えます。せっかくリフォームしても、競合に勝てる、優位に立てるリフォームでなければ意味がないからです。つまり、守るのではなく、攻めるつもりのリフォーム。それが満室経営を実現する、当社のリフォームです。

 

では、満室を実現するリフォームとは具体的にどんなものか。実例を挙げてご紹介しましょう。そのビルは1993年に竣工、2010年時点で築17年の港区にあるビルです。リフォームが行われたのは2年前、主要テナントが退去、約半分のフロアが空いてしまった時期でした。

 

リフォームしたのは玄関、アプローチ、1階と基準階のエレベーターホールにトイレ・給湯室。本当は建物前面のアプローチをすべて撤去し、造り直したかったのですが、それをやるためには用意された工事費9800万円では、5000万円ほど足りないため、その部分は断念しました。玄関周辺は石でできていますから、それを改築するとなると費用がかかるのです。

 

そのため、筆者から見ると、このビルのリフォーム後の完成度は6~7割程度。ちょっと残念だったなという部分もあるのですが、それでもリフォーム後ほどなく満室を実現。既存テナントも含め、賃料値上げも行うことができました。

色とデザインを統一し、活気ある雰囲気を演出

では、リフォームの詳細を詳しく解説します。

 

 

ぱっと見て大きく変わったことがおわかりいただけるのは、玄関前の庇部分でしょう。以前は黒を基調にしたデザインで、いささか重苦しい印象がありました。

 

そこで、リフォームにあたっては明るく、活気を感じる色、デザインを採用。照明も庇内部に配したダウンライトのみとし、柱上部に取りつけられていた照明は撤去しました。無用な凹凸は見た目のすっきり感を損ない、雑然としたイメージになるからです。

 

また、建物右側、隣接する建物の間の手すり、後づけされていた目隠し用サッシも撤去、手すりの形状と色を変え、さらに目隠しとしてすりガラスを取りつけました。

 

この部分は、ビル建設時の設計者が隣家の存在を考えた設計をしていなかったため、当初はアルミの手すりがあっただけ。古びた隣家が丸見えになっていました。そこで後から黒い縁の、安いサッシを取りつけたのですが、それではどうにも貧相で暗い。そこで全面的に取り替えることにしたのです。

 

建物を建てる際には、ついつい建物単体でデザインなどを考えがちですが、特に都心では建物同士が建て込んでいることが多いので、見せたくないものが近隣にあることもしばしば。近隣の環境も考慮して設計することが大事です。

 

これは室内の設計にもいえることで、見えていても楽しくないものしか見えない窓であれば、すりガラスにして光だけを取り入れるようにしたほうが賢明なのです。

 

また、写真では見えていませんが、風除室前の右側にはカード式のセキュリティパネルを設置。夜8時以降の来訪者は内側から開錠してもらわなければ入館できない仕組みにしてあります。

 

 

 

リフォーム前の1階エレベーターホールはドアや窓が複数あり、暗く、ごちゃごちゃした印象がありました。そこで、使われなくなった管理室の窓は各フロアの案内板で隠すこととし、エレベーター脇のオーナー宅への扉も封鎖、残りの扉も古めかしいグレーを塗り替えて壁と違和感のない色にすることで、広さを感じさせる空間に造り直しました。古いエレベーターの扉、防火扉などのグレーは全体をくすんで見せてしまいますから、ここの色を変えるだけでも明るくなるのです。

 

ちなみにエレベーターは全体を取り替えられればベストですが、予算がかさむので当社では扉と内部に特殊なシートを貼り、照明を明るくすることで対処しています。この方法であれば、1平方メートル当たり1万円程度で見た目を変えられます。

 

照明は一般的には700ルクス程度に設計されることが多いのですが、当社ではできるだけ1000ルクスに近づけるようにしています。というのは、スーパーや銀行では2000ルクス、売れている店舗であればもっと明るいことも多く、明るさはビジネスを成功させるためには重要な要素だからです。写真撮影時に使うレフ板のような効果もあり、明るさは汚れを目立たなくもしてくれます。

 

このビルでは天井が高いこともあって少し暗めで、600ルクスほど。エレベーター前ではダウンライトに加え、間接照明も利用、さらに床、壁を研磨することで白く、明るくもしていますが、機会があればもっと明るくしたいと考えています。

 

また、エレベーターホール自体のデザインも本当であれば、もう少しなんとかしたいところですが、それでも色、デザインを統一したことで、すっきり見えるようになっています。

本連載は、2010年12月21日刊行の書籍『空室を抱える中小オフィスビルオーナーのための満室ビル経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載中小オフィスビルオーナーのための「満室」経営術

サブリース株式会社 代表取締役

1946年岩手県宮古市生まれ。1969年に都留文科大学を中退、東都商事株式会社に入社。貸事務所仲介営業に従事し、入社から5カ月で営業管理職兼トップ営業マンと して活躍する。その後、同社を3年10カ月で退社、26歳 で独立を果たす。40年以上にも及ぶ業界経験のなかで、 貸事務所の仲介のみならず、貸ビルの設計・開発ならびに リフォームを含めたビルのコンサルティングも手掛け、多く の空室に悩むオフィスビルを再生させてきた。また、業界に先駆け、貸事務所の転貸業(サブリース)を考案するな ど、その豊富な経験を活かし、現在はサブリース株式会社 にて、オフィスビルの設計、開発、再生に力を注いでいる。

著者紹介

空室を抱える 中小オフィスビルオーナーのための 満室ビル経営

空室を抱える 中小オフィスビルオーナーのための 満室ビル経営

佐々木 泰樹

幻冬舎メディアコンサルティング

サブプライム問題、リーマンショックを経て、悪化した賃貸オフィスビル市場は依然厳しく、地方都市では都心以上に苦しい状況にあります。そのような中、特に中小規模のオフィスビルは、バブル期以前に建った築20年以上のビルが…

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