今回は、法人税の節税にも使える「中小企業倒産防止共済」の概要を見ていきます。※本連載では、税理士、西浦雅人氏の著書『今すぐ社長の給料を半分に下げなさい』(リンダパブリッシャーズ)の中から一部を抜粋し、具体的な事例とともに、社長として気をつけたい「間違いだらけの節税対策」について解説していきます。

Q:どうしても法人税を払いたくないんです。何か良い方法はありませんか?

 

A:それなら倒産防止共済に入りなさい!

倒産防止共済なら1年分の前払いが可能

どうしても法人税を払いたくないというのであれば、独立行政法人中小企業基盤整備機構の「中小企業倒産防止共済」がおすすめです。

 

これは取引先の予期せぬ倒産による連鎖倒産から中小企業を守るために作られた制度で、急に取引先が倒産して売掛金が回収できなくなったような場合に、お金を貸してもらえるという制度です。

 

具体的には、積み立てた掛金総額の10倍または被害額のどちらか少ない額の範囲内で、最高8000万円までの貸付けを受けることができます。

 

また、急に事業資金が必要になった場合も、解約したときに受け取れる解約手当金の95%程度の範囲内で借りることができます。

 

さらに、12か月分以上掛金を納付していれば、解約した場合は、掛金の納付月数に応じて掛金総額の75%~100%が戻ってくるのです。

 

掛金は月額5000円から20万円までの範囲で、5000円刻みで自由に設定することができ、掛金は経費として処理することができます。

 

しかも、掛金は1年分まとめて払うこともできるので、月額20万円に設定し、1年分をまとめて払う形で、決算月に新規加入することにすれば、一気に240万円の経費を作り出すことができるというわけです。

 

積み立てられる掛金総額は最高800万円までなので、それ以上は積み立てたくても積み立てられないわけですが、それでもいざというときの備えができて、解約すれば掛け金が戻ってきて、しかも一気に240万円の経費を作り出せるこの制度は、まさに中小企業にとってはありがたい制度だといえるでしょう。

 

中小企業基盤整備機構と委託契約をしている全国の金融機関や商工会、商工会議所などで申し込むことができます。

解約は退職金などの支出の予定があるタイミングで

ただし、解約して戻ってきた掛金は雑収入としてまるまる利益になりますので、解約のタイミングは慎重に検討する必要があります。

 

仮に解約して800万円が戻ってくるとした場合、その年の利益がいきなり800万円増えることになります。

 

すると、法人税率が34%に跳ね上がって、多額の法人税を納めなくてはいけないという事態となり、これまでの節税分を一気に吐き出してしまうことにもなりかねません。

 

最悪なパターンとしては、21%や23%の税率のときに費用にしておいて、もらったときに34%になるケースです。

 

払ったときに800万円×21%=168万円を節税し、もらったときに800万円×34%=272万円を納税するという人も出ています。この人は、104万円(=168万-272万円)も損をしていることになるのです。

 

したがって、解約するときは、赤字になりそうなときか、ご自身または誰かの退職金を払うなどの支出の予定があるときにするようにしましょう。

本連載は、2017年1月31日刊行の書籍『今すぐ社長の給料を半分に下げなさい』(リンダパブリッシャーズ)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

今すぐ社長の給料を半分に下げなさい

今すぐ社長の給料を半分に下げなさい

西浦 雅人

リンダパブリッシャーズ

はじめまして、税理士の西浦雅人です。私はこれまで数多くの社長や個人事業主の方とお会いしてきましたが、残念なことに世の中には間違った節税対策をしている人が、本当にたくさんいるものです。私の知り合いの社長も、そんな…

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