施工・タツミプランニング

理想の家づくりのために重要なのは、「どこで建てるか」より「誰と建てるか」。「建築家のデザイン」を取り入れたオンリーワンの物件で知られる神奈川の注文住宅大手タツミプランニングと、日本最大級の建築家ネットワークを作り上げたアーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)が提案する、お客様・建築家(アーティスト)・工務店(スタジオ)が三位一体となった究極の家づくりに迫る本企画。第2回目は、建築家の山本健太郎氏に「理想の家づくり」について伺った。

クライアントの要望は「すべて実現する」

――賃貸住宅を設計するのと、マイホームをつくる点で大きな違いはありますか?

 

建築家・山本健太郎氏
建築家・山本健太郎氏

山本 大きな違いはありませんね。もちろん、賃貸住宅はそこに誰が住むのかわからないという違いはあります。しかし、建築家はその物件の“ファン”をつくろうと考える点には違いがないのです。結局、家は器にすぎません。そこに住まう人たちが気持ちよく人生を過ごせるように設計されていれば、それが最良の家です。

 

――賃貸住宅を設計される場合にはアピールポイントを用意してファンをつくるとお話しされていましたが、マイホームの場合は?

 

要望により暗めリビングを設計。バリアフリーを優先しながら、光と影による奥行きのある空間を目指した(川崎)。
要望により暗めリビングを設計。バリアフリーを優先しながら、光と影による奥行きのある空間を目指した

山本 それはクライアントの要望をすべて実現するよう努めるということに限ります。とことんわがままを聞いて、それを具現化できるよう考える。だから、私が設計したマイホームには2つと同じような物件はありません(笑)。'14年に竣工した50代夫婦からは、「私はちょっと暗めのところで食事したいの」と変わった注文を受けたので、あえて窓から光の入りにくい住宅を設計しました。

 

「杉の木目」を外観に採用。
「杉の木目」のコンクリート転写を外観に採用

ほかに取り入れてほしいものはありますか? と聞いたら、「杉の木目をコンクリートに転写させたものを使ってほしい」とのことだったので、それも取り入れた。交通量の多い街道が近くを走っているので、その音を遮断するためにRC造の平屋として、その杉板型を外観に採用して、静かな生活を送れるマイホームを実現したわけです。

 

母屋に住む両親の介護にも対応できるよう敷地内の導線も確保し、介護用寝室など用意しました。バリアフリー住宅としての性能も申し分ありません。こういったクライアントの要望をすべて実現できる住宅をつくるには、私のような建築家に依頼するほかないでしょう。

 

バリアフリー住宅としての実用性とデザイン性を両立させている。
バリアフリー住宅としての実用性とデザイン性を両立させている

 

建築家への相談は土地を購入する前に!?

――ただ、やはり建築家に依頼すると建築コストが天井知らずとなるような不安があるという人は少なくありません……。

 

理想のマイホームは土地の購入も含めて考える(施工・タツミプラニング)。
理想のマイホームは土地の購入も含めて考える
(施工・タツミプラニング)

山本 私は、建築家を町医者のように使ってほしいと考えています。少し腰が痛いなと思ったら、診断を仰ぐというように(笑)。まず、土地を購入して、ここに家を建ててほしいとおっしゃるお客さんもいますが、できることなら土地を購入する前に建築家に相談することをお勧めします。なぜなら、建蔽率を考えるとせっかく取得した土地に理想通りのマイホームが建てられない……というケースも出てくるからです。土地は買ってしまったら交換できません。だからこそ、多少費用はかかっても、その前から建築家に相談するべき。

 

――それはどれぐらいの費用が?

 

建築家へのアプローチが理想の家づくりの第1歩(施工・タツミプランニング)
建築家へのアプローチが理想の家づくりの第1歩
(施工・タツミプランニング)

山本 土地の購入代金に比べたら誤差のような金額で相談を受け付けてくれる建築家が大半なので、ご心配には及びません。それよりも、皆さんは建材がいくらで、コンクリートがいくらで……というハウスメーカーの見積書を見せられて、それが相場に見合った料金なのかわかりますか? おそらく、提示された金額が高いのか安いのかわからず、予算内に納まっているかどうかでしか判断できていないのではないでしょうか。

 

だから、ハウスメーカーに依頼した際にも第三者の意見を仰ぐために、建築家に相談するのがベストなんです。すべての工事代金をチェックして、適正か否かを依頼者の立場に立って判断できるのは、建築家以外にいないと思っています。まず、建築家にアプローチする。それを心がけることが、理想の家作りの一歩だと言って間違いありません。

 

 

取材・文/田茂井 治 撮影(人物)/永井 浩 
※本インタビューは、2017年5月17日に収録したものです。

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